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犬や猫が防虫剤成分の「パラジクロルベンゼン」を誤飲・誤食してしまったら?

防虫剤には「ナフタレン」や「エンペントリン」など、商品によって異なる防虫成分が使用されています。

その中でも特に多く利用されている防虫成分が「パラジクロルベンゼン」と呼ばれる成分です。

今回はこのパラジクロルベンゼンを使用した防虫剤を、犬や猫が誤飲・誤食してしまった場合について解説していきたいと思います。

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防虫成分「パラジクロルベンゼン」

押入れ

市販されている防虫剤に多く使用されている「パラジクロルベンゼン」。

なお、パラジクロルベンゼンは他にも、下記のように表記されている場合もあります。

  • パラジクロロベンゼン
  • p-DCB
  • パラ-DCB

パラジクロルベンゼンは防虫剤にも多く使用されているとおり、防虫成分としても効果が高く、カビを防ぐ効果も兼ねている優れた成分です。

市販されている商品は心配ありませんが、パラジクロルベンゼンが高濃度である場合には、犬や猫だけでなく、人体にも悪影響を及ぼす可能性もある成分でもあります。

人体にも悪影響を及ぼすパラジクロルベンゼン

2008年に起きたパラジクロルベンゼンが原因となる有名な事件。

この事件では、防虫剤の側に置かれていたカップラーメンがパラジクロルベンゼンを吸収してしまい、このカップラーメンを食べた方々が体調を崩したことで事件が発覚しました。

防虫剤からは独特な臭いが発せられていますが、この特徴的なニオイの正体は常温で気化したパラジクロルベンゼンです。
※最近はパラジクロルベンゼンを使用していない防虫剤もあります。

売り場に置かれていた防虫剤とカップラーメンなので、容器や包装もしっかりとされていたわけですが、この事件からパラジクロルベンゼンは “包装” も通してしまう事がわかったわけです。

事件以後は、容器の改良や注意喚起が行わるといった事態に発展していきました。

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防虫剤を誤飲した場合はすぐに動物病院へ

顔を覆う猫

参考文献(主要防虫剤メーカーの製品における,pDCB製防虫剤の使用量に関する情報)によるとパラジクロロベンゼンの推奨使用量は1包あたり8gという情報が公表されています。

実際にパラジクロルベンゼンを使用している商品を例に取ると、1袋400g(50包)という内容の商品で、1包あたりおおよそ8gのパラジクロルベンゼンが含まれていると、おおよそ計算されます。
※香料なども含まれるので、確実に8gであるかは不明

パラジクロルベンゼンは、人間の場合でも体重1kgあたり0.1g以上を誤飲した場合、受診が必要であると判断される成分で、ラットによるLD50は3.8g/kgという結果が出ています。
※LD50:致死半数の割合

4kgの犬は約2包で警戒レベル

4kgほどの犬猫の場合、パラジクロルベンゼンを使用した防虫剤 2包を誤飲・誤食してしまうとかなり危険な状態と言えるでしょう。

そのまま犬や猫に当てはめるのは難しいですが、誤飲・誤食の場合には直ちに動物病院に向かう必要があります。

ただし、動物病院までの距離が遠い場合など、時間を要する場合にはすぐに吐かせる事が重要であるケースもあります。

この場合、動物病院に連絡をいれて判断を仰ぐようにしましょう。

パラジクロルベンゼンは「水」で吐かせる事が重要です

パラジクロルベンゼンを誤飲・誤食してしまった場合には「水」を飲ませて吐かせる事が大切です。

注意しなければならないのが「牛乳」など、脂肪分のあるもので吐かせようとする場合です。

パラジクロルベンゼンは “脂溶性” の成分であり、牛乳を飲ませてしまうと脂肪分として共に体内に吸収されてしまうため、”水” で吐かせることが大切なのです。

そもそもが「ペット用の牛乳」でなければ別の悪影響も懸念されますが、防虫剤を誤飲してしまった場合は水で吐かせるということを覚えておきましょう。

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パラジクロルベンゼンを誤飲してしまった場合の症状とは

大きく口を開ける猫

犬や猫がパラジクロルベンゼンを摂取してしまった場合、嘔吐や歩行困難、発作など、神経系に関連した症状が引き起こされます。

また、場合によっては白内障や肝障害、貧血を発症するケースもあるため、十分な注意が必要です。

因みに防虫剤成分として使用される「ナフタレン」。

ナフタレンを使用した製品は少ないですが、パラジクロルベンゼンのおおよそ2倍の悪影響があるとされているため、防虫剤を利用している場合は念の為確認しておくことをおすすめします。

さいごに

今回はパラジクロルベンゼンについて解説してきました。

パラジクロルベンゼンは犬や猫にとって毒性のある成分ではありますが、誤飲・誤食にさえ気をつけていれば、防虫効果も高い優れた成分ではあります。

万が一誤飲・誤食してしまった場合には、すぐにかかりつけの動物病院に連絡、もしくは受診して早急に対処するようにしましょう。

【参照】

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