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防虫剤の成分「エムペントリン」と「プロフルトリン」と犬猫への影響について

防虫剤も改良が重ねられていますが、中でも増えてきているのが「エムペントリン」と「プロフルトリン」という成分を使った防虫剤です。

これらの成分は殺虫剤にも使用される「ピレスロイド系」の防虫成分ですが、犬や猫に対しても悪影響の少ない成分とされています。

今回はこの「エムペントリン」と「プロフルトリン」の、犬や猫に対しての影響について調べていきたいと思います。

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ピレスロイド系の「エムペントリン」

蚊取り線香
Photo credit: tedd okano on Visualhunt.com / CC BY-SA

防虫剤に使用されている「エムペントリン(Empenthrin)」という成分は、殺虫剤の有効成分として知られる「ピレスロイド系」の殺虫成分です。

※エムペントリンは「エンペントリン」や「エンベントリン」など、表記が異なっている場合ありますが、本記事ではエムペントリンと記載しています。

多くの殺虫剤に使用されるピレスロイドは、蚊などの虫に対しては即効性のある神経毒の殺虫成分ですが、犬や猫が体内に摂取しても、短時間で体外へと排出されるため、悪影響は限りなく少ない殺虫成分とされています。

揮発することで効果を発揮するエムペントリン

ピレスロイドは空気に触れることで、殺虫成分が分解されるという特徴を持っています。

殺虫スプレーをイメージするとわかりやすいですが、虫に直接吹きかける事で殺虫効果が得られますよね。

一方、虫の居ないところでスプレーしても、殺虫効果は限定的と言えます。

ピレスロイド系はこのように「揮発」することで殺虫効果が失われますが、この揮発性の高い特徴を改良したのが、エムペントリンという成分になります。

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エムペントリンの毒性について

スプレーのイラスト

防虫剤に使用される殺虫成分には、「パラジクロルベンゼン」や「ナフタレン」といった有効成分が使用され、いずれも殺虫効果は高い半面、防虫剤特有とも言えるあの強烈なニオイも特徴の一つとなっています。

これらの成分と比較して、さきほど説明したピレスロイド系の殺虫成分「エムペントリン」はニオイも少なく、これらの成分よりも少ない量で効果を発揮するという特徴を持ちます。

エムペントリンは犬猫への悪影響も限りなく少ない防虫成分

エムペントリンのLD50(半数致死量)は、ラットによる経口投与で1680mg/kg(経皮では5000mg/kg)という結果が出ています。

一方、殺虫剤成分で同じピレスロイド系の「アレスリン」の場合、ラットによる経口投与LD50では860mg/kgという結果。

この結果を見ると、エムペントリンの方が犬猫への害が少ない事もわかります。

さらにエムペントリンは殺虫効果だけでなく、害虫の卵に対しても孵化を阻害するという効果を持ちます。

パラジクロルベンゼンを利用した防虫剤はまだまだ多いですが、安全性やニオイなどの面からも、エムペントリンを利用した防虫剤は増加傾向にあるようです。

ピレスロイド系の「プロフルトリン」

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ピレスロイド系の防虫剤にはエムペントリンの他にも、「プロフルトリン(profluthrin)」という殺虫成分が使われています。

プロフルトリンはエムペントリンよりも殺虫効果が高い成分で、衣類などに付着する害虫に対して4倍〜8倍もの効果を発揮することがわかっています。

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プロフルトリンとエンペントリンの違いとは

エムペントリン同様に、空気中へと揮発することで高い殺虫効果を発揮するプロフルトリン。

ヒトスジシマカを代表とする蚊に対しても高い殺虫効果を発揮するという結果も出ており、エムペントリンのわずか4分の1の量でも高い効果を示したという研究結果が出ています。

エムペントリンとプロフルトリンは同じピレスロイド系の殺虫成分ですが、その違いとなるのは「蚊」に対する殺虫効果も一つの特徴と言えるでしょう。

揮発性が高く、臭いも少ない、犬猫に対しても悪影響は少ないが蚊に対して効果があるという特徴を持つプロフルトリンですので、以下のような犬猫用の虫よけグッズにも使用されています。

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プロフルトリンの毒性について

パグ

殺虫効果はエムペントリンよりも高いですが、エムペントリンよりもLD50の値が高く、毒性が比較的高くなる点はエムペントリンとプロフルトリンの違いとも言えます。

プロフルトリンによる犬や猫に対する毒性は、おおよその致死量とされるのが1000mg/kg。

ただし、これは経口投与による数値で、4kgの小型犬であれば4gのプロフルトリンを誤飲・誤食してしまうことで危険が及ぶという計算です。

犬や猫はプロフルトリンに害がある?

ここまで説明してきたとおり、ピレスロイド系の殺虫成分は犬や猫に対して悪影響を与えるのは限定的。

同じピレスロイド系のプロフルトリンに関しても通常の使用方法であれば、まず悪影響が出ることはないでしょう。

一方で防虫剤のパッケージには殺虫成分の記載はあるものの、含有量の記載はありません。

誤飲・誤食というケースでなければ防虫剤を犬や猫に”投与”することもありませんが、製品に何gのプロフルトリンが配合されているのかは不明ですので、念の為、プロフルトリンの毒性に配慮しておく必要はあります。

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エムペントリンとプロフルトリンのまとめ

エムやらプロやらトリンやら、なんだか馴染みのない成分名で頭が混乱しますね。最後に今回ご紹介した内容を、簡単にまとめてみましょう。

  • ピレスロイド系は犬猫にも影響が少ない
  • ピレスロイド系は揮発性が高い
  • エムペントリンは「害虫の卵」に対しても効果を持つ
  • プロフルトリンは「蚊」に対して効果が高い
  • エムペントリンよりも殺虫効果が高いのがプロフルトリン(4〜8倍の効果)
  • エムペントリンよりも毒性が高いのもプロフルトリン(ただし投与で)

使用する用途によって、同じピレスロイド系でも得意・不得意がありますが、他の殺虫成分と比較するとピレスロイド系の殺虫成分は、犬猫にとって安心と言えるものです。

100%の安心“はありませんが、極端な利用方法(食べさせるとか)をしなければ犬や猫にも悪影響は及ばないと考えられるので、安心して防虫剤を使いましょう。

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