愛するペットの健康診断。わかってはいるけれど、なかなか行けていないという方も多いのでは?
調査結果によると、ペットの健康診断を「定期的に受診している」と答えた方は、なんと4割を超える結果に。
一方で、健康診断を「受けたことがない」と答えた飼い主さんは約2割。
今回はペットの健康診断をテーマに、獣医師団体「一般社団法人 Team HOPE」が行った調査結果を交え、ペットの健康診断の重要性や費用、健康診断の頻度について解説していきたいと思います。
もくじ
はじめに
今回、参考にさせていただいたのは獣医師団体「一般社団法人 Team HOPE」が2019年12月6〜7日にインターネットで行った「ペットの健康管理に関する実態調査」で、2016年から数えて4度目の調査となっています。
調査対象は犬もしくは猫を飼育している家族で、
- 犬の家族 206名(犬の年齢:7歳未満 103名、7歳以上 103名)
- 猫の家族 206名(猫の年齢:7歳未満 103名、7歳以上 103名)
という方々が対象となっています。
犬と猫の健康診断 受診経験はある?
4割の方が、定期的にペットの健康診断を行っています。
2019年度の調査では、定期的にペットの健康診断を行っているのは全体の42%という結果。私の感覚としては思ったよりも多いなという印象でした。
また、「受診したことはない」と答えたのが23%という結果。これもちょっと多いかなという印象ですね・・・。
ペットを飼育している全ての方を対象にしているわけではないので、必ずしも調査結果の数字が正しいとは言えませんが、2割の方はペットの健康診断をしたことがないということになります。
「受診経験はある」が35%
実際のところ私もここに該当してきますが、「受診経験はある」と答えた方が35%。
「去年は健康診断を受診させたけど、今年はタイミングが合わなくて・・・」
仕事のタイミングが合わなかったり、なかなか時間が取れなかったという方もいらっしゃるかと思いますが、一番怖いなと感じるのは前回の調査結果で良好だった場合の「油断」です。
ペットが体調を崩したり異変を感じた時には、動物病院に連れて行く方がほとんどだと思いますが、元気いっぱいに走り回っている時に動物病院に行こう!と考える方も少ないのではと思います。
健康診断も同じで、去年の結果が良好だった時は安心してしまい、ペットの健康管理も油断してしまいがち。
健康診断はしっかり毎年行うことで「効果」が得られるものという事を、改めて肝に銘じておきたいと思います!
「定期的に受診」する飼い主さんは4年前よりも11%増に。
調査結果で見られたのが、調査開始の2016年と比較して「定期的に受診」している飼い主さんが11%増(31%→42%)という結果で、「31%→36%→41%→42%」と右肩上がりになっていることがわかります。
それに比例して「受診したことはない」と答えた方も2016年の34%→23%へとダウンしていることから、ペットへの健康意識も高まっていっている事が数字から見て取れます。
犬猫を飼育している飼い主さんの2割がペットの健康診断を受診したことがないということになりますが、たった4年間で11%も向上しているのは喜ばしい結果と言えそうです。
続いて、ペットの健康診断の「内容」について見ていきましょう。
ペットの検診内容 調査結果
問診や聴診だけでは健康診断として不足です。
上記の結果を見てみると、「血液検査」や「尿検査」「便検査」といった項目は料金も高くなってくるので、「軽い健康診断で」と考えている方は、そこまでの検査を行っていないケースが多いようですね。
動物病院に行けば「問診」「触診」「視診」「聴診」は行う場合が多いかと思いますが、よほど毎回のように通っている動物病院でなければ、健康診断を行ったうちに入らないと思います。
参考までにお話すると、現在通っている動物病院では必ず体温を計っていますが、以前は体温すら計らない動物病院もありました。
形ばかりの聴診を行われた経験もあるので、動物病院まかせではなく、飼い主さんも健診内容を把握することが大切かと思います。
ペットの健康診断におすすめの8項目
ペットの健康診断も人間と同じく、尿検査や血液検査など様々な検査が存在します。
今回の調査を行っている一般社団法人 Team HOPEでは、
- 問診
- 触診
- 視診
- 聴診
- 血液検査
- 尿検査
- 便検査
- レントゲン検査
以上の8つの検査項目が、ペットの全身の健康状態を把握するために大切であると説明しています。
人間の検査項目と同様、犬や猫もあらゆる角度から検査を行わなければ、詳細な健康状態を把握することは難しいのです。
健康診断の検査項目と内容、費用について
健康診断は病気の早期発見にも繋がりますので、より万全な健康管理を行うために基本となる8項目の健康診断がおすすめ。
それぞれどのような検査内容なのか、どれくらいの費用が発生するのかを簡単にまとめてみました。
ランダムに調べた動物病院の健康診断費用ですので、お近くの動物病院では費用も違ってくるかと思います。あくまで一例として参考にしてみてください。
※記載の費用目安は執筆時点のものです。
【問診】
健康診断にかかわらず、「問診」は普段のペットの状態を把握するために重要な診察になります。
- ご飯は食べているか
- 水は飲んでいるか
- 散歩中は元気に歩いているか
- おしっこ、うんちの量や色、臭いで気になることはないか
など、飼い主さんでなければわからない普段の様子は、愛犬・愛猫の病気を見つけるためサインがたくさん隠されています。
日頃からペットの様子を観察する癖をつけて、ちょっとした変化にも気がつけるようにしましょう。
【視診・触診・聴診】
ペットの目、耳、口腔内、被毛、皮膚、関節などの状態を確認するために、「視診」や「触診」を行います。
体重に変化がないか、関節に異常はないかなども確認し、問診で気になることがあれば更に重点的に視診や触診を行います。
「聴診」では、ペットの心音や呼吸音に異常がないかを確認します。循環器系や呼吸器系、腸の異常などは聴診で確認することができるので、大切な検査項目となります。
【尿検査】
「尿検査」は腎疾患や尿路疾患、糖尿病など内分泌疾患の検査・診断を行う際に必要となる検査で、ペットの蛋白や糖、白血球・赤血球、結晶などの数値を検査で確認します。
1,000円前後(動物病院によっても異なります。)
【糞便検査】
糞便検査は糞中に細菌や寄生虫の有無、消化管内の出血の状態、膵臓外分泌機能などを検査する際に必要となります。
1,000円前後(動物病院によっても異なります。)
【血液検査】
ペットから採血した血液で、ペットの健康状態をより詳細に把握することができます。代表的なものでは
- 赤血球数
- 白血球数
- ヘモグロビン濃度
- 総蛋白
- 血糖値
- 尿素窒素(BUN)
上記のほか、肝臓をはじめとした臓器の状態を詳細に把握するためには、血液検査が必要となります。
血液検査では「採血料」に加え、「血球計算」や「血液生化学検査」といった検査があります。
※「血球計算」赤血球や白血球、血小板の割合を調べるための検査
※「血液生化学検査」血漿中の成分、酵素の量を測定する検査で、項目数によって料金が変わってきます
1項目 1,000円程度。ほか、採血量として1,000円程度(動物病院によっても異なります。)
【レントゲン検査】
レントゲン検査は、骨の状態や内蔵の状態をより詳細に把握するための検査です。
3,500円〜4,500円前後程(動物病院によっても異なります。)
【超音波検査】
超音波検査(エコー検査)は、臓器の内部の状態を詳細に把握するために必要となる検査です。
3,000円〜4,000円程度(動物病院によっても異なります。)
犬と猫の健康診断の費用について
ペットの医療は自由診療であるため、動物病院によって費用は異なります。
紹介した検査費用に関しても、いくつか動物病院の検査費用を抜粋したものになりますので、場合によってはこれよりも高い場合もあるかと思います。
ただし、「健康診断」となると何項目かのセット料金になっていたり、季節のタイミングによってセット料金が組まれていることもあるので、動物病院でチェックしてみてください。
犬と猫の健康診断費用一例
例として、健康診断の費用がどのくらいなのかを表にしてみましたので、費用に合わせて検査項目の内容も参考にしてみてください。
理想的な検査項目は前述で説明した8項目となりますが、費用としてはそれなりにかかってくる事もわかります。
犬の健康診断費用例
A病院 | B病院 | C病院 | |
---|---|---|---|
触診・聴診・視診 | ◯ | ◯ | ◯ |
尿検査 | ◯ | ◯ | – |
便検査 | ◯ | – | ◯ |
胸部レントゲン | ◯ | – | – |
腹部レントゲン | ◯ | – | – |
超音波検査(腹部) | ◯ | – | – |
超音波検査(心臓) | ◯ | – | – |
血球計算 | ◯ | ◯ | ◯ |
血液生化学 (項目) |
18 | 16 | 18 |
血圧 | ◯ | – | – |
腎機能検査 | ◯ | – | – |
フィラリア検査 | – | ◯ | – |
料金 | 22,000円 | 8,000円 | 12,000円 |
猫の健康診断費用例
A病院 | B病院 | C病院 | |
---|---|---|---|
触診・聴診・視診 | ◯ | ◯ | ◯ |
尿検査 | ◯ | – | – |
便検査 | ◯ | ◯ | ◯ |
胸部レントゲン | ◯ | ◯ | – |
腹部レントゲン | ◯ | – | – |
超音波検査(腹部) | ◯ | ◯ | – |
超音波検査(心臓) | ◯ | – | – |
血球計算 | ◯ | ◯ | ◯ |
血液生化学 (項目) |
18 | 16 | 16 |
血圧 | ◯ | – | – |
腎機能検査 | ◯ | – | – |
フィラリア検査 | ◯ | – | – |
料金 | 22,000円 | 17,000円 | 12,000円 |
ペットの健康診断を行う頻度はどれくらい?
ペットの健康診断を行う頻度ですが、最低でも1年に1回行うことをおすすめします。
また、高齢になるにつれて病気の発症リスクも高くなってきますので、高齢期に入れば半年に1回程度の健康診断でも決して多くはありません。
関連する記事
個体差によっても成長の度合いは微妙に違ってきますので、愛犬・愛猫の様子を観察し、適したタイミングで健康診断を行うことが大切です。
ペットの健康診断は保険の対象になる?
ペットの健康診断は保険の対象外となります。
ペット保険は、あくまでも “保険加入後” の病気や怪我を治療するためのものです。
参考までにペット保険大手の「アニコム損害保険株式会社」のHPでも確認したところ、「保険金をお支払いできない主な場合」という項目に「検査費用」が含まれており、以下のような記載も確認できます。
健康診断費用 等
健康体に施す検査(症状を伴わない血液検査・糞便検査・フィラリア検査)費用 等
ペット保険は事前に加入しておく事が大切です
ペット保険の加入前に健康診断を提出する保険会社がほとんどですが、これは保険開始時点よりも前に患っている病気や怪我は、補償の対象ではないということです。
そのため健康診断を受けた際に病気が発覚、急いでペット保険に加入しても基本的にその病気は保険の対象にはならないですし、ペット保険加入の手続完了日から1ヶ月後に補償開始となるのが一般的です。
そのため、ペット保険は “事前に” 加入しておく事が大切なのです!
さいごに
ペットが亡くなった後に、もっと早く検査していればよかった・・・と考える方は少なくありません。そんな私自身もその一人と言えます。
ペット保険に加入しておくことも大切ですが、仮に20,000円の健康診断を行っても、1ヶ月あたり約1,800円の費用で愛犬・愛猫の健康を維持できると考える事ができれば、そんなに高い料金ではないのかなと思います。
「痛い」「だるい」と物言えない犬や猫にとって、健康診断は飼い主さんが愛犬・愛猫の体調管理を把握するために大事なものです。先送りにせず、健康診断を行う “月” を決めておいて、毎年忘れずに受診させるようにしましょう!
【参照】
- アニコム損害保険株式会社
- Team HOPE For Families
- アニコム損害保険株式会社 : みんなのどうぶつ病気大百科
- PR TIMES : 企業プレスリリース詳細