「PM2.5について」の記事イメージ

「PM2.5」の原因や影響を理解して適切な対策を!

数年前から当たり前のように耳にするようになった「PM2.5」。

天気予報などでも言われているので言葉としては知っているつもりでも、実際にどのようなものなのかはイマイチわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はPM2.5とは何なのか、PM2.5の対策や予防策について解説していきたいと思います。

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「PM2.5」とは?

ゴミが散る様子
Photo by camilo jimenez on Unsplash

PM2.5とは「微小粒子状物質」のことで、粒子の大きさが2.5μm(2.5マイクロメートル)以下の非常に小さな粒子のことを指します。

「1μm」は1mmの1000分の1の大きさですので、2.5μmは1mmの2500分の1ということになります。いずれにしても目には見えないほどに小さな粒子ということになりますね。

PM2.5の「PM」は何の意味?

PM2.5の「PM」とは「Particulate Matter」の略で、粒子状物質の意味を指します。ですので、PM2.5は「2.5マイクロメートルの粒子状物質」という意味となりますね。

因みに10μm以下の浮遊粒子状物質を「SPM」と呼びますが、SPMは「Suspended Particulate Matter」の略となります。

PM2.5の成分は?

気になるPM2.5の成分ですが、これは季節や気象条件だけでなく、地域や環境によっても異なります。PM2.5として主に挙げられる成分には、

  • 炭素成分
  • 硫酸塩
  • アンモニウム塩
  • ケイ素
  • ナトリウム
  • アルミニウム

などが挙げられます。

PM2.5は前述の通り非常に小さな粒子で、肺の奥深くまでこうした成分が送り込まれてしまうため、喘息気管支炎といった呼吸器系への悪影響や、肺がんのリスクを高めてしまうことが懸念されています。

PM2.5を発生させる原因

スモッグの夜
Photo credit: beggs on VisualHunt / CC BY

PM2.5は大きく分けて2つの要因から生成されています。

1つは一次生成と呼ばれ、焼却炉やボイラーなど、物を燃焼させて煙が発生される燃焼施設や鉱物堆積場などから出される粉塵など、主に直接的に発生するものが挙げられます。

この他、車や飛行機、船舶、タバコ、料理、ストーブの使用といった人的な影響によるものだけでなく、火山や土壌などの自然由来による影響によっても生成されています。

化学反応で生成される2次生成のPM2.5

もう1つが2次生成と呼ばれ、環境大気中の化学反応によって生成されるものがあります。

具体的には火力発電所や工場、車、飛行機、船舶、家庭の燃料燃焼などから排出される「硫黄酸化物(SOx)」や「窒素酸化物(NOx)」が挙げられます。

また、塗料や溶剤の使用時や石油取扱施設から排出される揮発性のガス状物質である「有機化合物(VOC)」なども、大気中で光やオゾンと反応することでPM2.5を生成させています。

この揮発性有機化合物には、森林などから排出されるものも含まれます。

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PM2.5は中国から飛来している?

中国のスモッグの様子
Photo credit: bpoostdijk on Visualhunt / CC BY

気になるのがPM2.5がどこからやってきているかということ。

中国からやってきているという印象も強いですが、上記でも説明した通り、PM2.5は普段の生活でも生成されているものなので、実は日本国内でもPM2.5は発生しているのです。

「PM2.5=中国」というイメージは2013年に発生した、中国の大気汚染によって運ばれてきた日本国内におけるPM2.5の急上昇によるものかもしれません。

中国といえば「黄砂」や「スモッグ」が有名で、常に大気汚染の影響が懸念されていますが、2013年に起きた中国におけるPM2.5の高濃度は様々な気象条件が影響していたのだそうです。

PM2.5と「黄砂」

PM2.5の注意報が出されているときには、主に東から風に乗ってやってきていますが、このPM2.5の正体は黄砂であるケースも多いようです。

東アジアの砂漠から舞い上げられた砂である黄砂は、PM2.5よりも粒子が少し大きく4μm〜10μmほど。

ですが、中にはPM2.5の黄砂も混ざっているため、PM2.5の測定値が上昇するのだそう。

中国の大気汚染による影響で、PM2.5が日本へやってきている事はあるようですが、そのすべてが中国の大気汚染によるものとは言えないのです。

PM2.5の濃度と基準値について

顔を手で覆う猫

日本における、ヒトの健康を維持するのに問題ないとされるPM2.5の基準値を表す「環境基準」は「35μg/㎥(1年平均では15μg/㎥)」で、注意喚起が出されるPM2.5の濃度は1日平均「70μg/㎥」という数値が環境省から定められています。

実際にPM2.5予報ではこうした測定量ではなく、「多い」「少ない」などの表現で表されることが多く、その際にはこの基準値を元にPM2.5の濃度が表現されています。

因みに前述でも触れた2013年の中国 北京の大気汚染では、時間値のPM2.5の最大濃度が993μg/㎥と恐ろしい値を記録していたようです。

札幌でPM2.5を観測している場所

PM2.5は場所や環境によって数値も変わってくることを説明しましたが、PM2.5予報ではどのような基準で予報が出されているのでしょうか。

具体的にPM2.5の注意喚起が行われる場合、PM2.5を測定している2箇所以上の測定局で85μg/㎥を超えた場合、もしくはいずれかの測定局で午前5時から正午までの1時間値の平均値が80μg/㎥を超えた場合に発表されます。

札幌市内にはPM2.5を観測している観測局が多数存在しており、観測された測定値によって警戒注意報が出されています。札幌市内でPM2.5を測定している観測局は以下の通り。

  • 北1条:札幌市中央区北1西2
  • 南14条:札幌市中央区南14条西10丁目
  • 篠路:札幌市北区篠路4-9
  • 国設札幌大気環境測定所:札幌市北区北19条西12丁目
  • 北19条:札幌市北区北19西2
  • 東18丁目:札幌市東区北33東18
  • 月寒中央:札幌市豊平区月寒中央通7丁目
  • 発寒:札幌市西区発寒5-7
  • 厚別:札幌市厚別区厚別中央4-3
  • 川南:千歳市東雲町5-13

北海道内でPM2.5を測定している場所

札幌市内だけでなく、北海道内の各所には観測局が設置されており、下記の観測局ではPM2.5の観測が行われています。

  • <小樽>
    • 勝納:小樽市勝納町10-1
  • <旭川>
    • 北門:旭川市錦町21丁目
    • 東光:旭川市東光8条3丁目
  • <苫小牧>
    • 沼ノ端公園:苫小牧市沼ノ端中央5-4
    • 糸井:苫小牧市しらかば町5丁目21番地
  • <室蘭>
    • 御前水:室蘭市御前水町2-2
    • 輪西:室蘭市輪西町3-2-33
  • <函館・北斗>
    • 亀田中学校:函館市美原3-30-3
    • 万年橋小学校:函館市吉川町6-22
    • 駒場:函館市駒場町1-6
    • 追分:北斗市追分1-36-16
  • <釧路>
    • 昭和小学校:釧路市昭和中央3丁目12番2号
  • <帯広>
    • 帯広市役所:帯広市西5条南7丁目1番地
  • <北見>
    • 北見市常磐町大気測定局舎:北見市常磐町2-1-8
  • <利尻>
    • 国設利尻酸性雨:利尻郡利尻町仙法志神磯193

PM2.5以外の大気汚染を引き起こす物質

上記の観測局も含め、北海道内にはPM2.5以外にも大気中の汚染物質や気温、風向きなどを測定している観測局が多数存在します。

PM2.5は人体やペットにも悪影響を与える物質ですが、PM2.5の他にも体に悪影響を与える物質は存在します。

観測局によって測定されている物質の種類は以下の通り。

物質名 詳細
二酸化硫黄
(SO2)
化石燃料の燃焼などで排出される硫黄酸化物の一種。酸性雨の原因物質や、呼吸器への悪影響が懸念されています。
一酸化窒素
(NO)
二酸化窒素
(NO2)
燃焼や化学反応による窒素と酸素の化合物。工場から家庭まで発生源となり、呼吸器系や酸性雨の原因物質になることが懸念されています。
非メタン炭化水素
(NMHC)
炭素と水素が結合した有機物。光化学オキシダントの原因物質に。
光化学オキシダント
(OX)
窒素化合物や炭化水素が太陽の紫外線を浴び、化学反応を起こした汚染物質。粘膜への刺激や呼吸器への悪影響、植物などへも悪影響を及ぼす。
浮遊粒子状物質
(SPM)
10μm以下の粒子状物質。ボイラーや排気ガスから発生し、肺や呼吸器へ悪影響を及ぼすことが懸念されます。
微小粒子状物質
(PM2.5)
2.5μm以下の粒子状物質。詳細は前述の通り。
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今から始められるPM2.5対策

マスクをした犬たち

外に出る限りPM2.5を避ける事はできませんが、諦める前にPM2.5対策を講じることが大切。

対策を行うのと、行わないとでは大きな差が生まれるでしょう。

では、今からでも始めやすいPM2.5対策についてご紹介していきたいと思います。

PM2.5対策に最適なマスク

基本中の基本ですが、PM2.5対策として最も取り入れやすい方法がマスクを付けて出歩くことです。

コロナ禍以降、マスクを付けている方も多いですが、PM2.5対策だけではなくウイルス対策にも効果的です。

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現在販売されている多くのマスクがPM2.5や花粉、ウイルス対策に適したマスクとなっていますが、念の為PM2.5に対応しているかを確認しておくようにしましょう。

環境省提供の「そらまめくん」

そらまめ君のサイト
そらまめ君」サイトより
環境省から提供されている大気汚染物広域監視システム「そらまめくん」は、大気汚染物の計測状況を確認することが出来るサイト。

広域マップでしか確認することが出来ませんが、PM2.5をはじめとした汚染物質の濃度を確認できるので、現在の大気の状況を確認するのに適しています。

URL:https://soramame.env.go.jp/

48時間後のPM2.5予測が確認できる「tenki.jp」

tenki.jp
tenki.jp」サイトより
より部分的にPM2.5を確認するのであれば「tenki.jp」のPM2.5分布予測がおすすめ。

tenki.jpのPM2.5分布予測では48時間後の予測までを確認することができるので、ちょっとした外出時や長期外出する際にもPM2.5の状況を把握することが出来ます。

URL:https://tenki.jp/pm25/

PM2.5予報を確認する

外出する前にチェックしておくべきなのが、前述でも触れてきたPM2.5予報です。

テレビの天気予報でもPM2.5について触れていますが、外出する時にはスマホのアプリでPM2.5の濃度を確認しておくことが大事。

その中でもおすすめしたいのは「Yahoo!天気アプリ」です。

Yahoo!天気 / iOS版
Yahoo!天気 / Android版

Yahoo!天気アプリはPM2.5の状況を確認できるだけでなく、雨雲の状態を時間を追って予測することができるので非常に便利です。

自宅では空気清浄機を利用する

外出する際にはマスクなどでPM2.5対策を行うのがベストですが、自宅では空気清浄機を利用することをおすすめします。

外出することで衣服などに付着したPM2.5を自宅内に持ち込んでしまうことになりますので、残念ながら自宅内にもPM2.5が潜入している可能性は高いです。

極度に神経質になりすぎる必要はないと思いますが、赤ちゃんやペットを飼育している家庭では空気清浄機が活躍してくれることでしょう。

空気清浄機については下記の記事でも紹介していますが、PM2.5だけではなく花粉やハウスダスト対策にも最適ですので、これからの時代に空気清浄機は必須の物となっていきそうです。

さいごに

あまりにPM2.5がひどいとゴーグルも必須となっていきそうな空気の悪さになりますが、まずはPM2.5についてしっかりと理解を深めることが大切です。

また、PM2.5は日頃の生活でも発生させているということも理解しておきましょう。特に車のアイドリングを減らしたり、公共の交通機関を利用することが大気汚染対策として推奨されています。

この他、害の少ないタバコに切り替えるなど、身近なところから大気汚染対策に取り組むことができるので、日頃からこうした問題に対して意識していくようにしましょう。

【参照】

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