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シトロネラは猫にとって危険な植物!その理由と虫除け効果について

結論を先にいうと、「シトロネラ」は猫にとって有毒です。

ただし、シトロネラが「精油(アロマオイル)」なのか「生草」の状態なのかによってもやや異なります。

今回は猫にとってシトロネラが危険な理由や、中毒症状その理由について詳しく解説していきます。

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シトロネラは猫の虫除けに使える?

レモングラス


まずは基本の部分から。

「イネ科オガルカヤ属(Cymbopogon)」の植物「シトロネラ」は猫にとって有毒となる植物ですが、同じ仲間には「レモングラス」等も含まれてきます。

シトロネラ
・Cymbopogon winterianus
・Cymbopogox nardus
シトロネラール
(Citronellal)
レモンユーカリ
Eucalyptus citriodora
レモングラス
・Cymbopogon citratus
・Cymbopogon flexuosus
シトラール
(Citral)
パルマローザ
Cymbopogon martini
・ゲラ二オール
(Geraniol)
・シトロネロール
(Citoronerol)
ゼラニウム
Pelargonium graveolens

シトロネラのほか、「レモンユーカリ」や「ゼラニウム」なども同じ仲間となる植物なので、シトロネラだけに注意を払ってもダメということです。

“植物”の状態では忌避効果を発揮せず

続いて「シトロネラ」という植物について。

一般に「シトロネラ」と呼ばれる植物は2種類あります。

  • Cymbopogon winterianus
  • Cymbopogon nardus(コウスイガヤ)

シトロネラは害虫忌避の効果を持つことでも知られますが、植物そのものに忌避効果はありません。

シトロネラは精油(アロマオイル)として抽出された状態でなければ、害虫忌避の効果を発揮しないのです。

因みにシトロネラの精油は蒸留釜で加熱し、成分を気化させて抽出する「水蒸気蒸留」という方法で抽出されます。いくつかの行程を重ねなければ、精油を抽出することができません。

猫にとってシトロネラは有毒となる植物ですが、”植物のまま“と”精油の状態“で比較すると、精油の状態の方が危険度は高いです。
(とはいえ個体差はあるので、植物の状態でも反応を示す猫はいるかもしれません)

ただし植物のままでも大量に食べてしまうと、腸閉塞や中毒症状を引き起こす可能性が高くなりますので、愛猫は食べない・触れないだろうと油断せず、十分に注意しなければなりません。

余談ですが、シトロネラは牛も食べないほど不味いのだそうです。

猫が注意するべき成分「シトロネラール」

猫

ということで、猫にとって最も危険なのは精油として抽出されたシトロネラです。

なぜ、精油になると有毒になるの?という疑問が生まれると思いますが、その正体となるのが、抽出されたシトロネラに含まれる「シトロネラール」と呼ばれる成分です。

シトロネラールとはシトロネラの植物に含まれる有機化合物のひとつで、冒頭の表のとおり、レモンユーカリからも抽出される成分です。

因みにシトロネラールの含有量は、シトロネラよりもレモンユーカリの方が多いため、レモンユーカリの方が猫にとってより危険という事が言えます。

シトロネラが悪いわけではありません

今回は猫にとって毒!というテーマで書いているので仕方がありませんが、シトロネラ(シトロネラール)が悪者になってしまいそうなので、先にシトロネラの良い部分をご紹介。

アロマオイルや香料、フレーバーとしても利用されるシトロネラール。柑橘系の香りで私も大好きな香りです。

人間にとっては防虫効果のほか、抗菌・殺菌作用、デオドラント作用、免疫向上などなど、非常に多くの作用をもたらしてくれる素晴らしい成分です。

防虫・忌避剤のほか、芳香剤やバスエッセンス等にも使用されていますね。そんなこんなでアロマオイルとしても結構有名だったりもします。

なので、シトロネラ(シトロネラール)自体は危険な成分という話ではありません。あくまでも使い方によりますが、猫にとっては毒です。

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シトロネラールの毒性と中毒症状

アロマオイル

シトロネラールは猫にとって有害となる成分なわけですが、そもそも猫だけでなく、犬やうさぎ、人間にとっても「精油の誤飲」は深刻な悪影響を及ぼします。

シトロネラールのLD50値(半数致死量)は、ラットへの経口投与で1kgあたり5gという研究結果も。1kgのラットが5gのシトロネラールを摂取してしまうと、50%の確率で命を落としてしまうということです。

吸引すると体内で分解できない成分です

猫にとっては成分そのものが有毒となるわけですが、猫はシトロネラに含まれる香りの成分(シトロネラール)を体内で分解することができないため、体に悪影響を及ぼしてしまうようです。

体に起きる悪影響として、軽症であれば食欲不振や嘔吐といった症状がみられ、重症化するとショック症状や尿もれ、膀胱炎、脱力感などの症状が引き起こされます。

なお、シトロネラの香りは犬よりも猫のほうが、より過敏に反応すると考えられています。

皮膚に付着するのも危険です

吸引するのも危険ということは、当然ながら皮膚に付着するのもNGです。

海外の報告では植物に体をこすりつけることでも何かしらの悪影響を及ぼす可能性があるため、猫を飼っている場合はシトロネラを植えないのが理想とされていました。

皮膚に付着した場合、体内へと成分が浸透してしまいますので、結果として体内で成分を分解できず中毒症状を引き起こすと考えられます。

結論として、猫にとってシトロネラは有毒となる植物であり、吸引や皮膚への付着でも何かしらの悪影響を及ぼすと説明できます。

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シトロネラの忌避効果はどのくらい?

アロマキャンドル

シトロネラにはどれくらいの忌避効果があるのかを実験した結果がありましたので、ご紹介します。

シトロネラを含む製品にはアロマオイルのほか、シトロネラ精油を染み込ませたキャンドルやデュフューザー等がありますが、この実験では”どの成分”で”どの商品”がどれくらいの効き目があるのかを実験したものです。

実験では「シトロネラ」を使った製品に加え、同じく忌避効果のある以下の成分を使用した製品で実験が行われています。

  • リナロール(スズランやラベンダーに含まれる成分)
  • ゲラニオール(ゼラニウムやパルマローザに含まれる成分)

なお、成分の配合量はキャンドルが5%(/88g)、デュフューザーは100%(/20g)の有効成分を含んだものを使用。

実験結果

キャンドルタイプは室内での実験、デュフューザーは屋内と屋外で実験し、どれだけ害虫を寄せ付けなかったか・忌避効果を発揮できたのかを数値化。

キャンドル デュフューザー
()内は屋外の数値
シトロネラ 14% 68%(22%)
リナロール (該当商品なし) 93%(58%)
ゲラニオール 50% 97%(75%)

最も忌避効果が高かったのは「ゲラニオール」と「デュフューザー」の組み合わせで、ほぼ100%に近い割合で害虫が逃げていった事が立証されています。

対するシトロネラですが、キャンドルは気持ち程度・・・といった感じですね。

デュフューザーでも室内利用で68%の忌避効果となりますので、「香りを楽しみつつ忌避効果も」という気持ちで利用するのが良さそうです。

猫とシトロネラのまとめ

猫にとっては吸引するのもNGなシトロネラ。忌避効果が14%のキャンドルであっても、やはりおすすめできるものではありませんので、猫がいる家庭ではシトロネラを配合した製品は避けたほうが安心です。

濃度にもよりますが、すぐに中毒症状を引き起こすと言うよりも、猫自身がシトロネラの香りを嫌がるはずですので、その場から逃げ出す可能性のほうが高いかもしれませんね。

とはいえ、シトロネラの植物を近くに置いたり、シトロネラの精油を舐めてしまうことのないよう、十分に注意しましょう!

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