シベリアンハスキー

犬ぞりの感動作!アニメ映画「バルト」の物語と”実話”の違いを解説

1925年にアラスカのノームで起きた奇跡の犬ぞりリレーを描いた感動のアニメ映画「バルト」。ストーリーは事実に基づいているものの、事実とは異なる演出も多く描かれています。

お子様にもわかりやすいよう内容は比較的シンプルな構成で制作されていますが、まずはアニメ映画「バルト」の特徴や内容について解説していきたいと思います。

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感動のアニメ映画「バルト」

シベリアンハスキー
Photo by Chirobocea Nicu from StockSnap

1995年に制作されたアニメ映画「バルト」。

製作総指揮には日本でも有名なスティーブン・スピルバーグ監督が名前を連ねる本作は、1925年に発生したアラスカのノームという町で起きた、「慈悲のレース」と呼ばれた犬ぞりチームによる奇跡のリレーを描いた作品です。

タイトル バルト
原題 Balto
ジャンル アニメ
上映時間 1時間17分
製作国 アメリカ
公開年 1995年(日本公開 1996年)
Filmarks評価

3.7 / 2020/12/21時点

吹替版の声優にはバルト役に柴田恭兵さん、ヒロインのジェナ役にはアンパンマンでお馴染みの戸田恵子さんが担当していたりもします。

因みに英語版ではバルト役に映画「フットルース」で人気俳優となったケビン・ベーコン、ジェナ役には映画「ルームメイト」や「アサシン」などで活躍してたブリジット・フォンダが担当しています!

実話をもとにした犬ぞりの物語

アニメ映画「バルト」は、1925年にアラスカのノームという数千人規模の町で発生した感染症による危機を犬ぞりチームが命がけで血清を輸送し、難を逃れたという実話をもとにした感動の物語です。

ノームの町を襲った感染症「ジフテリア」は感染力や死亡率も高く、特に小さな子どもたちにとって驚異となる感染症で、発症からわずか2週間ほどで命を落とす可能性もある恐ろしいものでした。

このジフテリアは「血清」によって治療を行う事ができますが、ノームには僅かな血清しか残っていなかったのです。

また運の悪いことにこの年は寒波にも襲われており、飛行機や船で血清を輸送することができない状況に加え、最も近い町から1,000kmという離れた場所にあったのでした。

犬ぞりが起こした奇跡の6日間

そんな一刻も争う町の危機を救ったのが犬ぞりによる血清の輸送でした。

通常であれば30日程かかる距離を命がけの輸送により、わずか5日半〜6日で輸送したのが「慈悲のレース」と呼ばれる所以となっています。

そして、タイトルにもなっている「バルト」はノームに血清が届けられた際の“最終ポイント”の犬ぞりチームのリーダー犬「バルト」の名前が基になっています。

下記の記事でもノームで起きた史実を詳しく解説しています!

お子様にもおすすめの作品

シベリアンハスキー

実はアニメ映画「バルト」は、1925年にアラスカ ノームで起きた実際の史実よりも脚色された部分が多い作品ですので、本当に起きた史実を本作で学ぶことはできません。

とはいえ、「ノームで感染症が発生し感染症を治療するための血清を犬ぞりで届ける」という、「慈悲のレース」の大筋となる部分に関してはしっかりと史実に基づいて描かれています。

「正確な事実を知りたい!」「史実を大事にしたい!」という方にはおすすめの作品ではありませんが、ざっくりながら史実を基にしたアニメーションとなっていますので、楽しみながら「慈悲のレース」を理解することができる作品です。

お子様にも理解がしやすい内容です

“実際の”史実では1,000kmに及ぶ距離を20チームの犬ぞりチームが血清を運ぶわけですが、20チームそれぞれの物語を描いていては超大作になりすぎますね!

アニメ「バルト」では1チームのみが輸送している設定となっており、物語もシンプルな内容にまとまっていますので、お子様にも「慈悲のレース」の凄さがわかりやすいと思います。

また、登場するキャラクターも最低限に絞られており、ほぼすべてのキャラクターが動物ですので、お子様でも理解がしやすいのではないでしょうか。

バルトが血清を運ぶ”動機”となっているのも、街の人々を助ける事ではなく好意を寄せているメス犬「ジェナ」のため(ジェナの飼い主である女の子が感染症に)という点は、アニメならではの設定と言えるでしょう。

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アニメ映画「バルト」の史実と異なる部分とは

雪原を走行する犬ぞり

では具体的に、どういった部分が史実と大きく異なっているかを解説していきたいと思います。

実際は20チームで輸送しています

史実では20チーム、約150匹の犬が輸送リレーに参加。最後のバトンを受け取りノームまで血清を届けたのがバルトをリーダーとした犬ぞりチームでした。

アニメ映画「バルト」では”悪役”のスティール率いる1チームだけが描かれ、血清を輸送しています。

バルトの生い立ちも演出されています

アニメ「バルト」に登場する主人公のバルトはノームに住む”野良犬”という設定で、1匹狼(ガチョウの友達はいますが)の設定となっています。

犬ぞりレースへは飛び入り参加という形で参加しますが、実際のバルトは既にそり犬として飼育されていた犬でした。

バルトの”犬種”が異なります

アニメ版バルトは犬と狼の混血種として描かれています。

しかし、史実に残されている情報ではシベリアン・ハスキーまたはアラスカン・マラミュートという説が残されています。

“悪役”スティールなど、アニメ用のキャラクターも

アニメの中では非常な悪役として登場していたスティールですが、史実ではスティールという名の犬は見かけませんでした。(ジェナも同様に)

150匹ほどいたのでスティールという名の犬はもしかしたら存在していたかもしれませんが、バルトや「トーゴ」などの有名な犬ではなかったと考えられます。

血清を運ぶケースもアニメ仕様に

すごい細かい部分かもしれませんが・・・アニメでは血清が木箱に入れられて輸送されていましたが、史実では約9kgの金属製のケースに入れられて輸送されました。

作中ではアニメらしく血清が吹っ飛んだりしていましたが、史実では無傷の状態で届けられたと伝わっています。

洞窟を抜ける演出も?

アニメ「バルト」では雪崩が起きたことで洞窟へと逃げ込むような演出も描かれていますが、史実ではそういった事実を見つけることは出来ませんでした。

ただし、流氷の上を渡ったり、割れた氷の上を滑走した史実は残されていましたので、アニメのように洞窟を抜けるような事はなかったものの、アニメを凌ぐような過酷な状況で輸送していたことは間違いありません。

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気軽に見られるおすすめ作品です

シベリアンハスキー
Photo by Jordan Hubbard from StockSnap

最後にノームへと血清が届けられ、町人たちが歓喜の渦となっていた横で犬ぞりに乗せられた瀕死の人間(マッシャー)が放置されているなど、なかなか突っ込みどころの多い作品でしたが、内容は面白かったので見てよかったです。

上記の他にも史実とは異なる部分も多い本作ですが、「慈悲のレース」を簡潔に知るにはもってこいの作品ではありますので、ぜひ一度ご覧になってみてください!

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