キンチョーの「虫コナーズ」は、去年ベランダにぶら下げていて効果は立証済み。
めちゃくちゃ蚊に刺される私としては、頼もしいアイテムの一つになりました。
そんな虫コナーズ。ペットを飼っている側としては虫に効果がありすぎて、犬とかに悪影響はない?って心配になっちゃったりもするわけです。
そこで今回は虫コナーズと、虫コナーズに使用されている「トランスフルトリン」と「メトフルトリン」について解説していきます。
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虫コナーズの殺虫成分について

一般的に使用される殺虫成分の多くは、殺虫効果が高く、光や空気によって分解されやすい「ピレスロイド系」が採用されています。
「メトフルトリン」や「トランスフルトリン」もピレスロイド系の殺虫成分ですが、両成分に共通するのが以下のポイント。
- 「トランスフルトリン」と「メトフルトリン」は、ピレスロイド系の改造バージョン(極端な説明になりますが)。
- 効果はそのままし、光や空気中でも分解されにくく改造。
速攻で攻撃し、速攻で退散するのがピレスロイド系の特徴。
これを、
速攻で攻撃し、効果を長くしたのがトランスフルトリンとメトフルトリンというイメージ。
ちなみに、そもそも「ピレスロイド」って何?という感じの方は、先にこちらを読んでいただいたほうがわかりやすいかもしれません。
製品によって異なる殺虫成分
金鳥の主力製品でもある「虫コナーズ」シリーズでも、採用されている殺虫成分は異なります。
- メトフルトリン(ピレスロイド系)
- トランスフルトリン(ピレスロイド系)
完全な外用にはメトフルトリン、やや室内気味の場所にはトランスフルトリンという感じでしょうか。
金鳥のHPでは、メトフルトリンとトランスフルトリン、共に以下のような特徴が紹介されています。
揮散性が比較的高く、殺虫効果も優れている。
殺虫成分の特徴に関してはほぼ同じと判断できますが、こうなると気になるのが、トランスフルトリンとメトフルトリンの具体的な違いです。
トランスフルトリンとメトフルトリンの違い

トランスフルトリンとメトフルトリンの具体的な違いについて。
結論としては、
- メトフルトリン:蚊を攻撃するのが得意
- トランスフルトリン:蚊も得意だけど、ハエやゴキブリも得意
という感じです。
まずは下記の表を見てみましょう。
(数値が低いほど、高い威力を持つことを意味します。)
トランス フルトリン |
メトフル トリン |
d-T80- フタルスリン |
|
---|---|---|---|
アカイエカ (成虫) |
0.0036~ 0.00938μg |
0.0015μg | 0.0083μg |
ヒトスジシマカ (成虫) |
– | 0.00047μg | – |
イエバエ (成虫) |
0.018〜 0.0764μg |
0.24μg | 0.63μg |
チャバネゴキブリ (成虫) |
0.64~1.48μg | 1.3μg | 7.6μg |
上記の実験結果は、蚊に対して薬剤を投与し、蚊の半数が致死に至った用量はどれくらいだったかを調査する半数致死量(LD50)という数値をまとめたもの。
実験の条件等は異なりますが、それぞれ行った実験結果が上記で示した数値となっています。
極端な例で言うと、2匹の蚊がいて、1匹の蚊が死に至ったのはどのくらいの量?ということですね。
蚊はメトフルトリン、ハエとかはトランスフルトリンが優勢
対 アカイエカの数値
- メトフルトリン:0.0015μg
- トランスフルトリン:0.0036~0.00938μg
アカイエカを例に見ると、トランスフルトリンよりもメトフルトリンの方が少ない量で効果を発揮していることがわかります。
対 イエバエの数値
- メトフルトリン:0.24μg
- トランスフルトリン:0.018〜0.0764μg
一方でイエバエやゴキブリの場合は、トランスフルトリンの方が少ない量で効果を発揮していることがわかります。
相対してみると蚊(アカイエカ)に対しては僅差ですが、他の害虫の場合は数字に開きがあるなという感じ。
ただ、μg(マイクログラム)の世界なので、実際そこまで体感あるのかなぁというのは私的な見解(どっちにしても頼もしい)。
異なる「d-T80-フタルスリン」という成分
先程の表には、一般的なスプレー式殺虫剤(害虫へ直接吹きかけるタイプ)に使用される「d-T80-フタルスリン」の数値も比較・参考として入れていました。
直接吹きかけるため、効果は強くて当たり前ということですね。
ですが、空気にふれるとすぐに分解されるため、同じピレスロイド系ですが他2種とは異なると理解しておきましょう。
ということで力の差はかなり近いものの、どちらがオールラウンドと問われればトランスフルトリンの方がオールラウンダーなのかな?という印象です。
虫コナーズは犬や猫などのペットにも安全?

続いて毒性について。
動物実験の結果が切ないので詳細は省きますが、急性毒性が引き起こされるのは犬の体重1kgに対し、メトフルトリン2000mg以上の”経口投与“。
神経症状が主な毒性症状ですが、犬の体重が5kgであれば10,000mgのメトフルトリンを誤飲してしまうと危険が及ぶということになります。
対してトランスフルトリンは、2000mgの経口投与でも毒性所見は認められずという実験結果が発表されています。(ただし単回。反復投与では肝臓・腎臓で毒性が認められています)
ちなみにトランスフルトリンは「1プッシュで24時間効く」でお馴染み、金鳥の「蚊がいなくなるスプレー」の主成分でもあります。
「蚊がいなくなるスプレー」は安心だけど?
蚊がいなくなるスプレーには16.7w/v%のトランスフルトリンが含まれています。
(因みにこの商品、かなり効果を感じました。おすすめ!)
16.7w/v%って何?って感じですが、要は100ml中に16.7gのトランスフルトリンが入っているということのよう。本体は45mlです。
ですので、1プッシュしたところで犬や猫に悪影響がでることは”ほぼ“ないでしょう。
アナフィラキシーは起こりうるので、100%の安全はありません!
一方、残念ながら虫コナーズに含まれる成分の含有量は明記されておらず。(執筆時点)
ただ、虫コナーズは屋外で使用する商品で、効果も250日とか持続する製品なので、含有量としては蚊がいなくなるスプレーよりも多いのかな?と想像。
製品の形状的に誤飲の心配は少ないですが、犬や猫の側に置いておくのは避けましょう。
魚を飼っている方は使用してはいけません
トランスフルトリンやメトフルトリンは空気中に噴霧されるとそのまま揮発し、揮発した殺虫成分はすぐに分解されることなく、壁や天井などに付着します。
そして殺虫成分が付着した壁に害虫が止まることで、殺虫効果が発揮されるわけです。
虫コナーズは、殺虫成分のバリアをベランダの一体に張るようなイメージ!
こうした性質を持つことから、トランスフルトリンとメトフルトリンは昆虫はもちろん、魚を飼っている場合もNGな成分です。
その理由として、水槽の水に揮発した殺虫成分が溶け出してしまうからという点が挙げられます。
どちらかといえばトランスフルトリン

思ったより長くなっちゃいましたが、トランスフルトリンとメトフルトリンの違い、犬猫への影響について理解いただけたでしょうか。
- メトフルトリンより、トランスフルトリンの方が実験結果で毒性が認められなかった
- 屋外で使用するわけではないので、蚊とハエ(ゴキブリ等)にも殺虫効果を与えたい
以上の理由から、犬や猫を飼っている場合にどちらを選ぶとなればトランスフルトリンの方が安心かと思います。
虫コナーズでいくと、「ベランダ用+玄関用」「ベランダ用」ですね。
因みにベランダから室内に殺虫成分が流れてきても、よほどでなければ悪影響はないかと思います。
それよりも蚊にさされるリスクの方が高いと思いますので、犬や猫を飼っていても「虫コナーズ」や「蚊がいなくなるスプレー」等を利用するメリットはあるのではと思います。