その犬の乗せ方、大丈夫?愛犬と車で移動する時は、どのように乗車させていますか?
誤った犬の乗車方法で逮捕者も出ているわけですが、犬を飼っていて車を運転する方はドキッとするテーマではないでしょうか。
そこで本記事では、愛犬を車に乗せる際の正しい乗車方法と、道交法で該当する違反の内容について解説していきます。
それで逮捕!?犬の乗車方法と違反内容

まずは2020年5月に発生した、犬の乗車方法に関する一件について紹介します。
札幌・豊平署は2日、飼い犬を膝の上に乗せて車を運転したとして、道交法違反(乗車積載方法違反)の疑いで、栃木県栃木市の無職の男(51)を現行犯逮捕した。
北海道札幌市で起きたこの事件。あえて東京新聞の情報を引用させていただきました。
殺人でも巨額詐欺事件でもない、道路交通法違反のこの事件。
警察が停車を命じたところ走り去ろうとして逮捕したとのこと。
札幌の事件をわざわざ東京のメディアが扱うところ、全国的にも珍しい事件だったことが伺えます。
(こんなふうに書くと怒られそうですが)
まぁ、ペット関連の仕事をしているので職業柄、この乗車方法が違反であることは知っていましたが、逮捕ですか。
正直なところ、日本全国探せばたくさん逮捕者が出そうなこの事件。
愛犬家としては決して他人事ではない事件と言えるでしょう。
結局、何が違反となったのか
この男性は「道交法違反(乗車積載方法違反)の疑い」で逮捕されたようですが、この乗車積載方法違反て何?という方も多いのではないでしょうか。
(乗車又は積載の方法)第五十五条
2 車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
これが乗車積載方法の内容。
要は”視界やハンドル操作の妨げになるものを乗せるな“ということ。
確かに犬を膝の上に乗せてたら、事故を引き起こす可能性は高まります。
異なる違反内容と罰金の違い
乗車積載方法が記載されている「第五十五条」は1〜3項まであり、前出のは第2項。そして第3項が以下。
(乗車又は積載の方法)第五十五条
3 車両に乗車する者は、当該車両の運転者が前二項の規定に違反することとなるような方法で乗車をしてはならない。
「車両に乗車する者」に注目。つまり同乗者。
法律とかに詳しくないのでよくわかりませんが、これって同乗者が犬を抱っこしていても該当するのではないでしょうか?
例えば同乗者の方が犬を抱っこしていて、犬が不意に暴れたりして窓から顔を出したり、運転席に飛んでくる事も十分に予想されます。
そんな時も運転手は罰金の対象、場合によっては逮捕される可能性があるという事になります。
似たような違反をもうひとつ紹介
先程のは第五十五条でしたが、第七十条にも似たような違反内容が記載されています。
(安全運転の義務)第七十条
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
ほぼ同じような事を言っているような気もしますが、罰金の金額は違ってきます。
犬の乗車方法の違反と罰金
罰金について。因みに今日現在(2021/08/02)の調べなので、今後金額は変わるかもです。
まず、第五十五条に該当する違反の種別は「乗車積載方法違反」になるようで、罰金は普通車で6,000円、大型車等で7,000円。違反点数は共に1点です。
一方、第七十条の違反の種別は「安全運転義務違反」に該当し、罰金は普通車で9,000円、大型車等で12,000円。違反点数は共に2点です。
似たような違反でありながら罰金の金額、点数は大きく異なります。
※ もちろん別に違反があるなど、金額・点数はこの限りではありません。あくまで参考に。
別に何を言うわけではありませんが、何を伝えたいかと言うと違反をかいくぐることではなく、最も大事なのは人間やペットの命を守るということです。
正しく犬を乗車させましょう
要は規則を遵守して、安全・安心な状態で愛犬を乗車させるのが最も重要ということ。
事故を起こしてしまい、愛犬の命を落としてしまうような事態にもなりかねません。
「ちゃんと守っていればよかった」と後悔する前に、愛犬を安全な方法で乗車させるようにしましょう。
難しいことはひとつもありません。
運転者の邪魔にならず、愛犬が安全な状態であればよいわけです。
後部座席なら邪魔にならないし安全?
後部座席に座っている人がシートベルトをしていないと、衝突した時にフロントガラスを突き破るほど飛んでいってしまうというのは有名ですよね。
当然ながら犬や猫も同じこと。
運転手の膝の上ではなく、後部座席に乗せているからと言って安全・安心なわけがありません。
参考までに、事故が発生した場合に犬がどのようにふっ飛ばされるのかを、人形でテストをしている動画がありますので見てみましょう。
すごーく低速なこの実験ですが、それでも犬の人形はこれだけ吹っ飛ぶわけです。
しかもこの人形、車用のハーネスを装着しているんです。
この動画は「どれだけ飛んでいくかの実験」ではなく、犬用の車載ハーネスの性能テストを行ったものなんです。
普通のスピードで衝突すれば、間違いなく愛犬の命はないでしょう。
自動車は安全でも、窓から顔を出していたら超危険
続いてホンダの人気車種 N-BOXの衝突実験を見てみましょう。
過去に「軽自動車は危険」と言われていましたが、リアルなスピードでの衝突実験でも安全性が保たれていることがわかります。
ただ、注目してもらいたいのはそこではなく、次の動画。
仮に愛犬が窓から顔を出していた場合を想定して、改めて下記動画を見てみてください。
窓から顔を出していたらと思うとゾッとしてしまいます。
おそらく窓を全開にしているよりも、飛び出さないように少し開けておくケースが多いと思いますが、この動画を見る限りかなり危険であることがわかるかと思います。
エアバッグは安全性を高めるものですが、もろに直撃するとかなりの衝撃があるので逆に大怪我をする、もしくは命を落としてしまうような事態も想定されます。
後部座席も十分な安全対策が必要
さらに、先程の実験動画のように後部座席に乗せていて、この実験動画のスピードで衝突したものなら・・・
間違いなく車外に放り出されるか、場合によっては愛犬が凶器となってしまうケースもあるでしょう。
このとおり、車がいくら安全でも、犬を安全に乗車させていなければ犬の命はもちろん、飼い主さんの命の保証もありません。
“違反にならない”犬の安全な車の乗せ方
愛犬の乗車方法で違反切符を切られないためには、運転の妨げにならないように乗せる必要があります。
例としては、
- シートベルトにリードを固定
- キャリーケースに入れる
など。すごく基本的なところですね。
ちなみにNGとなるのは、下記に挙げるような乗せ方。
- 膝の上に乗せて運転
- 後部座席に乗せる
- 助手席に乗せる
- 窓から顔をだしたまま運転
- 同乗者が抱っこ(念の為) など
「同乗者の抱っこ」は私自身の憶測レベルにすぎませんが、なんとでも言われそうな書き方がされていたので、犬の安全も考慮して同乗者の抱っこもNGにしておきました。
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大事なのは「命」を守ること
あくまで上記は犬の”安全性“は考慮せず、とりあえず違反にならないための犬の乗せ方として紹介しました。
繰り返しますが、大事なのは違反ではなく犬の安全、人の安全です。
犬の乗車方法で違反して嫌な思い・無駄な罰金を払うくらいなら、犬用のカーグッズにお金を使った方が良いです。
ということで、最後におまけを紹介して、本記事はサヨウナラとします。
交通違反したドライバーの反則金は、国に納付されます。