基本的に動物を電車へ乗せることはできませんが、一定の条件を満たしていれば「手回り品(手荷物)」として乗車させることができます。
ポイントとなるのは、他の方に迷惑がかからないようにすること。
本記事では、別記事にて調査した日本全国の鉄道事業者の情報をもとに、犬や猫・小動物を電車に乗せる際のポイントについて解説していきます。
犬や猫は電車に乗車できる?
犬や猫は電車を利用することができます。
ただし、基本的に犬や猫などの小動物を”抱っこしたまま”で乗車することはできません。
電車は様々な方が利用しますので、他の方に迷惑がかからないようにペットをケースに収納し”手荷物(手回り品)“として乗車させる必要があります。
犬の乗車料金は「手回り品料金」
動物は普通の「荷物」には該当しませんので、手回り品を持ち込むための「手回り品切符」を購入し乗車させます。
この手回り品切符が、犬の乗車料金にあたると考えても良いでしょう。
JR東日本やJR東海・JR西日本をはじめとした全国の鉄道事業者を調べたところ、手回り品の料金は200円〜300円程度。金額は事業者によって異なります。
因みに盲導犬や介助犬、聴導犬に関しては使用者本人との随伴であれば乗車料金はかからないのが一般的です。
犬や猫を電車に乗車させるための条件について
犬や猫を”手回り品”として乗車させるための、基本的な条件を解説していきます。
ポイントは犬や猫を蓋付きのキャリーにしっかりと収納することができ、頭や足が出ないようにすることです。
キャリーのサイズ等は鉄道事業者によっても異なりますが、全国の鉄道事業者を調査した中でも平均的な3つの条件をご紹介します。
【1】長さは70cm以内
犬や猫を収納するキャリーケースにも条件があり、キャリーケースの長さが70cm以内である必要があります。
小型犬サイズのキャリーケースであれば、だいたいの商品が長さ50cm〜60cm程度になりますので、極端なサイズの物でなければ問題なくクリアできるでしょう。
【2】動物を合わせた重さが10kg以内
キャリーケースのサイズだけではなく、キャリーケースと動物の合計が10kg以内である必要もあります。
小型犬であれば4〜5kg程度、キャリーケースの重量がだいたい2kg前後ほどになりますので、よほどでなければ10kgを超えることはないと思います。
【3】長さ・幅・高さの合計が90cm程度
キャリーケースの長さ・重量のほか、キャリーケースの縦・横・奥行きの合計が90cm程度である必要がありますが、この条件が少々謎だなと感じている条件の一つ。
例えば、ネットで販売されているこちらのペット用キャリー。
一般的なSサイズのハードキャリーですが、長さ・幅・高さの合計は115cm。25cmのオーバーとなってしまいます。
因みに色々なハードキャリーを確認しましたが、90cmで収まるものはごく一部でした。
とはいえ、多くの鉄道事業者が”90cm程度“と記載していますので、90cmを極端に超えなければ許容範囲なのでは?といったところ。
なお、犬や猫の乗車に関する条件に関しては全国の鉄道事業者によってルールも異なりますので事前に確認しておきましょう!
電車に乗車できない条件とは
条件を満たしている場合でも、犬の吠え声が大きかったり他の乗客に迷惑がかかるくらいに吠えてしまう場合は乗車できない場合があります。
いざという時に困らないよう日頃からキャリー移動に慣れさせておくか、カバーを掛けてケース内を暗くする等の訓練をしておきましょう。
また、この他にも電車に乗車させることのできない条件もありますので、その一例をご紹介していきます。
危険な動物は電車に乗車できません
ヘビを始めとした「危険な動物」や「猛獣」は電車に乗車させることはできません。
あくまで常識の範囲内という形になりますが、多くが「猛獣やヘビの類を除く」と記載されていますので、ヘビなどの爬虫類が該当してくるかと思います。
亡くなった動物は電車に乗車させられません
手回り品の条項にある持込禁制品には「死体」と明確に記載されています。
たとえ上記の条件を満たしたキャリーケースに収納している場合でも、亡くなった動物を電車に乗車させることはできません。
迷惑がかかるような「悪臭」を発する動物もNG
条件を満たしていても、「不潔なもの」「臭気を発するもの」は乗車不可という説明が記載されている場合も多いです。
他の方に迷惑がかかるほどに臭気が強い動物に関しては乗車はNGとなります。
リュックやバッグでも電車への乗車は可能?
犬や猫を収納するケースにも色々なものがあります。
上記に上げた条件をクリアしていれば問題はないかと思いますが、ここからはそれぞれのケースについても説明していきたいと思います。
「ペットバギー」や「カート」で電車に乗せることは可能?
愛犬・愛猫をペットカート(ペットバギー)に入れて乗車出来るかどうかの判断ですが、ほぼNGと思っておいたほうが良いでしょう。
一例としてJR西日本のHPに以下のような記載があります。
ペットカート(ペットバギー)は、カートも含めた寸法がペットを有料手回り品としてお持ち込みいただける制限を超えるため、ご利用になれません(ケースとカートを分離する場合を除きます)。
しかし、ペットカートに装着した状態で乗車させるのはNGというのがほとんどです。
分離出来るタイプであればOKな場合もありますので、利用する電車のHP等で確認してみるようにしましょう。
「リュックタイプ」のペットキャリーは乗車可能?
なので、明確に条件を提示している鉄道事業者でなければ、リュックタイプのキャリーでも乗車は可能かと思います。
ただしペットの顔が出ないことや、チャック等でしっかりと蓋ができる物など、基本的なマナーを守ることができる場合のみです。
また、背負ったままの状態で乗車するのは他の乗客にも迷惑がかかる場合がありますので、背負わずに乗車するようにしましょう。
「カバンタイプ」のペットキャリーは乗車可能?
ただしリュックタイプと同様、カバンタイプの場合もペットの顔だけを出したり、入り口を開けたままの状態にしておくのはNGとなります。
万が一、逃げ出してしまったりすると当事者が迷惑するだけでなく、電車に乗車させる規定そのものが厳しくなってしまう恐れもありますので、しっかりと収納した状態で乗車するようにしましょう!
「スリング(抱っこひも)」は乗車可能?
判断が迷うのが「スリングタイプ(だっこひも)」にペットを入れて乗車できるかどうかという疑問。
JR西日本のHPには「ドッグスリングは、全身が入っていてもご利用になれません。」と明確に記載があります。
このほか、JR東日本のHPにも「90センチ程度のケースにいれたもの」という記載があります。
スリングは”ケース”には該当しませんし、犬や猫が苦手という方にとっては臭いがしてしまったり、飛び出してくるのではと言った心配もかけてしまうかと思います。
ただ、安全網となるメッシュ部分や飛び出し防止のフック付きスリングも販売されているので、よほどゆるゆるなタイプのスリング以外は許容範囲では?といった部分も。
マナーを守れば問題なく乗車できます
鉄道事業者によっては、犬・猫の乗車に関する条件が異なりますし、記載されている内容も異なります。
今回調べた中ではペット用車両を設けている事業者もありましたし、ペットとの乗車に関して別ページを設けているペットフレンドリーな鉄道事業者もありました。
その逆に、情報が全く書かれていない鉄道事業者も多くありましたが、不明点があれば一か八かで乗るのではなく、必ず問い合わせるようにしましょう!