つがいのカラス

6月は特に要注意!繁殖期のカラスから犬を守る方法や対策について

カラスは繁殖期を迎えると木の上に巣を作る様子が見られますが、犬の散歩で公園の周りを歩く機会も多いかと思うので、怖い目にあった事があるという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

そこで今回はカラスの生態を理解して、繁殖期のカラスから身を守る方法や対策について調べていきたいと思います。

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北海道のカラスの種類を知ろう

冬のカラス

カラスによる被害を減らすには、カラスの習性を理解することが大事です。そこでまずは、北海道に生息するカラス2種について理解していきましょう。

北海道で見られるカラスは「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」の2種。

パッと見は同じカラスですが、主に高所にいるカラスと、高所&平地にいるカラスという違いがあります。

ハシブトガラス

ハシブトガラス
ハシブトガラス
By Photo by Laitche, CC 表示-継承 4.0, Link
  • 全長:約56cm
  • 翼開長:約100cm
  • 体重:約550g〜750g
  • 特徴:
    • 嘴が太い
    • 上嘴が曲がっている
    • 額が段になっている
    • 鳴き声は「カァカァ」を澄んだ鳴き声。

「ハシブトガラス」はもともと森林に生息しているカラスの一種で、高所から地上の餌を探す習性を持ちます。英名は「Jungle Crow(森のカラスの意)」。

また、ハシブトガラスの縄張りは主に市街地を中心にしています。

ハシボソガラス

ハシボソガラス
ハシボソガラス
By Aomorikuma(あおもりくま) – Aomorikuma original Photograph, CC 表示-継承 3.0, Link
  • 全長:約50cm
  • 翼開長:約100cm
  • 体重:約550g〜750g
  • 特徴:
    • 嘴が細い
    • 上嘴はあまり曲がっていない
    • 額がなめらか
    • 鳴き声は「ガァガァ」と濁った鳴き声。

「ハシボソガラス」は河川敷などの平地に生息するカラスの一種で、比較的開けた環境下に生息しています。英名は「Carrion Crow(死肉を食べるカラスの意)」。

また、ハシボソガラスの縄張りは緑地帯や川がある付近が多いようです。

大きさなど、異なる特徴も

ハシブトガラスとハシボソガラスは、上記の通り身体的な特徴にも微妙な違いが見られます。

最も見分けやすいのが嘴の太さ。ハシブトガラスの嘴はゴロンと太く、ハシボソガラスは比較して細め。

また、カラスの鳴き声を思い出してみると、「カァー」と「ガァー」の2種類ありますね。この内、鳴き声が「ガァー」と濁っているのがハシボソガラス

体もハシブトガラスの方が若干大きく、ハシボソガラスの方が若干小さめです。

餌となる食べ物や食性に違いも

ハシブトガラスは昆虫や魚、小動物、果実、動物の死肉などをはじめ、生ゴミなども食べる雑食性の鳥で、エサを高所から探し、高所に移動してから食べる習性があります。

対して、ハシボソガラスは木の実や草の実をはじめ、昆虫や魚、動物の死肉などを食べる雑食性の鳥で、エサを歩いて探し、その場で食べる習性があります。

どちらも何でも食べてしまう雑食性の鳥ですが、ハシブトガラスのほうが肉食、ハシボソガラスの方が植物食の傾向があります。

こうした食性を見ても、

  • 主に高所で餌探しをするハシブトガラス
  • 平地で餌探しをするハシボソガラス

といった違いが見られます。

そのへんでウロウロしているのは、ハシボソガラスだったんですね。

つがいのカラスには注意

つがいのカラス

次にカラスの繁殖期の行動を理解していきましょう。

まず理解しておきたいのが、カラスは私達と同じく一夫一妻制の鳥であると言うこと。

夫婦(つがい)で協力しあって子育てをする動物です。

繁殖期は春から夏にかけて続き、一回の産卵で2個〜5個ほどの卵を産卵。

抱卵するのはメスのみで、オスはメスや雛に餌を運んで子育てを手伝います。

本州のカラスと北海道のカラスとでは子育てに若干の違いがあるようで、本州のカラスは子育てに失敗すると再び産卵・子育てを開始するらしいのですが、気候のせいもあってか、北海道のカラスは子育てに失敗しても年に1度の子育てで終える事が多いようです。

カラスの営巣地の違い

営巣する場所も微妙な違いがあるようで、ハシブトガラスは樹林内に営巣するのに対し、ハシボソガラスは開けた場所に立つ樹木に営巣します。

ただし、近年はハシブトガラスも住宅街への進出が増えていますので、一概にどちらの巣なのかを判断するのは難しいかもしれません。

どちらのカラスであっても繁殖期には警戒心も強くなりますので、種類に関わらず注意しなければいけないことに違いはありません。

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カラスの繁殖期の行動

鴉の巣

4月上旬ころ 産卵
抱卵(約20日間)
4月下旬ころ 孵化
5月下旬〜6月上旬 巣立ち
(孵化後約1ヶ月間)
6月頃〜 家族で行動
(巣立ちから約1ヶ月間)
7月頃〜 独立

3月〜4月は縄張り争いと巣作りの時期

4月頃になるとカラスが繁殖期を迎えます。4月と言っても気温や気候によっては3月中旬から繁殖期を迎えることもあるでしょう。

繁殖期を迎えるカラスは営巣のために縄張りを持つようになります。この頃からつがいのカラスを見かけるようになるでしょう。

縄張り争いは他のカラスや野鳥が対象となりますが、場合によっては人が縄張りに近づくのを嫌がるケースもありますので、カラスの巣を見つけた時には少し注意が必要となります。

また、北海道内でも函館と稚内では季節の訪れも違ってくるなど、地域によっても気候が大きく違ってきます。自治体の情報に目を通すのも忘れないようにしましょう。

4月〜5月は産卵・抱卵のタイミング

4月〜5月のタイミングでカラスは産卵し、メスは抱卵、オスはメスのためにエサを運ぶようになります。

基本的にメスは巣に残る事になり、オスは巣から離れる機会も多いですが、カラスも神経質になっているので、できるだけ巣には近づかないほうが良いでしょう。

6月前後の巣立ち時期は特に要注意

カラスの繁殖期で特に危険なのが「巣立ちの時期」。5月頃になると卵が孵化し、カラスのヒナが誕生します。

それから約1ヶ月、巣立ちを迎える6月頃はカラスが特に神経質になるタイミング。特に注意が必要です。

5月から6月のタイミングはカラスの巣がある場所を避けたり、いつもの散歩コースを変えるなど、できる限りの防衛策を取るようにしましょう。

親から独立し始める7月頃

7月頃になると、子ガラスは親カラスから独立するタイミングを迎えます。

独立を迎えると親子の関係が完全に切れるようですが、中にはだらだらと半年近く親から離れないカラスもいるのだそう。

カラスの世界にもだらしのない子供がいるとは、なんだか少し親近感がわきますね。

カラスの威嚇と攻撃

カラスのモノクロ写真

繁殖期のカラスに襲われるという事例をよく耳にしますが、カラスにとっても人間は危険という認識がありますので、突然襲うようなことはしません。

カラスの縄張りはおおよそ半径20m〜50m。中には100m近くを縄張りにするカラスもいるようです。

万が一、カラスが頭をかすめ飛ぶなど威嚇行動をしてきているのであれば、それはカラスの巣、縄張りの中心にかなり近づいている事を意味しています。

また、カラスなりに段階を踏んでから威嚇をしてきていますので、カラスの行動について理解しておきましょう。

レベル1 「カッカッカッ」と鳴き声で警戒
レベル2 木の枝や電線を突いて怒りアピール
レベル3 後ろから低空飛行でかすめ飛ぶ
レベル4 後頭部を脚で蹴る

カラスも突然、威嚇してきているのではなく、地味にこうした警戒レベルを踏んで威嚇してきているのです。

カラスから「攻撃」されることはほぼ無い?

実はカラスの「攻撃」は「威嚇」まで

カラスにクチバシで攻撃されるイメージも強いですが、クチバシで攻撃されるということはないのだそう。

よくカラスの嘴で突かれるのではないかと心配する方もいます。しかし、カラスの攻撃は巣へ近づく人を遠ざけようとする威嚇行動であり、またカラスは飛行する生き物ですから、自らが飛行を続けられなくなるような頭から体当たりするなどの攻撃はしてきませんので、嘴で攻撃するということはありません。

クチバシで攻撃されないからと行って安全なわけではありませんが、カラスも巣を守るために必死なのには変わりありません。

また、威嚇で後方をかすめ飛んでくるのは「オス」がほとんどで、後方でガーガー鳴いているのは「メス」。危険度が高い場合に出撃するのはオスがほとんどです。

カラスの威嚇から実を守るためには、やはり巣に近づかないというのがベストと言えます。

実は生存率が低いカラス

近年、カラスが非常に増えていると感じますが、一回の繁殖で独立まで迎えられるカラスは1〜2羽なんだそうです。

また、独立した後には厳しい冬を迎えるため、さらにその半数近くは越冬できずに命を落としてしまいます。

さらにその後、繁殖を迎える前の縄張り争いでも命を落とすことが多いため、翌年の繁殖期まで生存する確率はかなり低いのです。

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繁殖期のカラスには近づかない

首を傾げるカラス

カラスについて解説してきましたが、カラスに限らず犬や猫、ヒトも子育て時期は神経過敏になるものですよね。

繁殖期のカラスから犬や身を守るには、カラスの巣を避けるのが鉄則です。カラスもむやみやたらと威嚇をしてくるわけではありませんので、あえてカラスを刺激するような行動、ルートを通らないようにしましょう。

カラスは危険な存在として見られていますが、私自身も調べていく中で、カラスと上手に共存していくことが大事だなぁと考えさせられました。少しでもカラスに対しての理解を深め、カラスによる被害を減らしていきましょう。

【参照】

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