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アメリカで問題になっている首輪タイプのノミ・マダニ駆除薬について

アメリカで人気のある首輪タイプのノミ・ダニ駆除薬「セレストカラー」。

日本では販売されていない動物用医薬品ですが、首輪としてつけておくだけのノミ・ダニ駆除薬なので使い勝手も良さそうですよね。

そんなセレストカラーですが、アメリカでは少し気になる情報が出てきているようですので、こちらでも少し調べてみることにしました。

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約1700匹が犠牲に?アメリカで起きている問題とは

セレストカラー
米アマゾンより

今回のお話は、日本の情報サイト「FINDERS 」の「人気のペット用ノミ取り首輪で、約1700匹のペットが命を落としているという調査結果」という記事から知った話で、少し気になったのでさらに深堀りしてみたいと思います。

記事の内容はアメリカの情報サイト「USA TODAY 」に掲載されていた記事をベースにしており、ノミ・ダニ対策で人気の製品「セレストカラー」に関する情報となっています。

ノミ・マダニ駆除薬「セレストカラー」

首輪タイプのノミ・ダニ駆除製品「セレストカラー(Seresto Flea and Tick Collar)」は、装着後24時間以内にノミを駆除する効果を持ち、ダニやシラミに対しても効果を発揮。ラインナップによっては約8ヶ月間に渡って効果を持続するものも。

日本では販売されていない(一部サイトでは購入可能?)ので製品名はあまり知られていないと思いますが、ドイツの大手製薬会社 バイエル社が開発し、現在はエランコアニマルヘルス社が販売している製品です。

日本でも首輪タイプのノミ・ダニ駆除薬はありますが、「フロントライン」や「ネクスガード」といった、滴下タイプやチュアブルタイプのノミ・ダニ駆除薬の方が有名ですね。

事態は把握。しかし注意喚起は行われず

記事によると、「セレストカラー」が販売された2012年から2020年6月の期間で、セレストカラーが関連すると思われる事故の件数が7万5千件にものぼり、内1698件はペットが死亡する事態に。

さらにこの内の約1000件ほどは、人間にも被害が及んでいるとのこと。

具体的には首輪(セレストカラー)が触れた部分にアレルギー反応が発生するという報告で、EPA(アメリカ環境保護庁)を監視している非営利団体が明らかにした情報でした。

さらに問題なのが、市民の健康保護と自然環境保護を目的とするアメリカの環境保護庁(EPA)が、自体を把握していながらも、国民に対して注意喚起を促していないという点です。

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動物用医薬品と副作用について

治療中の犬

セレストカラーに使用されているノミ・ダニ駆除薬の有効成分は、「イミダクロプリド(クロロニコチニル系)」と「フルメトリン(ピレスロイド系)」という殺虫成分。

いずれも日本で認可されている殺虫成分で、これらの殺虫成分を使用した製品も販売されており、そのうちの一つ「イミダクロプリド」は農薬等に使用されているほか、ペット用のノミ・ダニ駆除薬にも使用されています。

医薬品アレルギーは高い頻度で発生している?

最近でいうと、コロナウイルスの人間用のワクチンで副作用が起きる話もありますが、犬や猫も同様、特定の医薬品に対してアレルギー反応を起こし、副作用が発生する可能性は0%ではありません。

ノミ・ダニ駆除薬と言えば日本では「フロントラインプラス(有効成分は「フィプロニル」と「(S)-メトプレン」)」が有名ですが、2007年〜2019年の期間で12件の副作用が報告されており、うち5件で命を落とす結果となっています。

一方、イミダクロプリドを有効成分にしているノミ・ダニ駆除薬「フォートレオン」は、2006年〜2019年の期間で7件の副作用が報告され、うち犬が2件、猫は3件(2件は不明)が死亡しています。

ただし、そもそもフォートレオンに関しては猫への使用が禁じられている製品のため、猫関連の副作用報告は事故とも言うべき報告です。

犬の死亡例だけでみると、イミダクロプリドを使用していないフロントラインプラスの方が数は多いですが、フロントラインプラスの方が圧倒的に販売数も多いため、同条件での比較は難しいところです。

実は日本にもあった首輪タイプの動物用医薬品

セレストカラーのもうひとつの有効成分「フルメトリン」は、家畜用の動物用医薬品に多く使用されている殺虫成分です。

犬猫用のノミ・ダニ駆除薬としては、エランコジャパン(以前はバイエル)から販売されている「ボルホプラスカラー」という首輪タイプの製品にのみ使用されています。

ボルホプラスカラーはフルメトリンのほか、「プロポクスル(カーバメート系)」という成分が有効成分に含まれており、セレストカラーと同じく首輪タイプのノミ・ダニ駆除薬です。

プロポクスルについて軽く調べたところ、粉末タイプの「虫コロリアース」の有効成分として使用される成分でしたが、これまでボルホプラスカラーを装着して副作用を発症したという報告はありませんでしたので安心しました。

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製品が悪い?米アマゾンが悪い?EPAが悪い?

ペトコ ECサイトより
「petco」でも販売され、評価も高いことが分かります。

このとおり、どの医薬品に関してもアレルギーを発症する可能性はありますので、今回の話は「イミダクロプリド」や「フルメトリン」だけを悪者にしている話ではありません。

とはいえ、年間販売数のおおよそ30分の1の割合で何かしらの副作用が発生しており、うち10分の1は命を落としている事態に。

セレストカラーが原因と疑われる報告が、2012年〜2020年の期間に7万件以上というのは異常な数字です。

その要因の一つと言えるのは、セレストカラーが最も売れているマーケットがAmazonである点だとアメリカの情報サイト「USA TODAY」が指摘しています。

日本の何倍も大きな国土を商圏としている米アマゾンですので、日本のノミ・ダニ駆除薬の比ではない数が売れていると思いますが、米アマゾンもまた、自体を把握しているものの販売を続けたままです。

しかしながら、アメリカの大手ペット用品サイト「petco」や「chewy」でもセレストカラーは普通に販売されていますので、米Amazonだけが的になるのも違う気が。

問題の本質はアレルギーではなく、大人の事情?

アメリカ環境保護庁(EPA)が自体を把握していながらも、注意喚起を行なっていないのは気になるところ。

医薬品関連のこういった話は、実際のところけっこう見聞きしますよね。

重要なポイントになりますが、「セレストカラー」と事故の因果関係は明確ではないため、セレストカラーが必ず原因だと断言は出来ません。

実際、米アマゾンのサイトを確認しても評価は高いこともわかりますし、10分の9は副作用が発生していないわけです。

セレストカラーをしていたことで救われている命も多いとは思います。

愛犬がどのようなアレルギーを持っているのか把握しておくのは、飼い主さんの務めでもあります。

はじめて使用する薬ならば事前に動物病院で指示を仰ぐなど、できること・防げることはありますので、こういった副作用の情報を把握しておき、万が一ということも理解しておくことが大切なのではと思います。

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