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愛犬を迎え入れたばかりのタイミングは、「しつけ」やコミュニケーションの取り方にばかり意識が向きがちですが、愛犬の健康も重要なポイント。
そこで考えたいのが、愛犬の健康と未来を守るために、「犬の遺伝子検査」 というアプローチです。
将来的な病気のリスクや、愛犬の持つ健康状態を客観的に把握できる遺伝子検査は、すべての飼い主さんにとって 「最悪の事態」を避けるための最重要アクション となるでしょう。
犬の遺伝子検査が「最悪の事態」を避けるために重要である理由
「愛犬の健康を守る」と考えた場合、真っ先に思いつくのがペット保険。
ペット保険への加入で病気のリスクが軽減されたと感じるかもしれませんが、それは本当の意味でのリスク回避にはなっていません。
遺伝子検査は、愛犬が持つ遺伝的な病気のリスクを把握し、早期発見・予防策を講じることを可能にします。
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遺伝性疾患のリスク把握と早期の予防対策
遺伝子検査の最大のメリットは、愛犬が抱えるリスクに基づき、飼い主が事前に準備できる点です。
特に、有効な治療法が確立されていない遺伝性疾患に対しては、その重要性が高まります。
例えば、遺伝子疾患が強く疑われる病気の一つに進行性網膜萎縮症という病気があり、現在も有効な治療法は確立されていません。
この病気は徐々に視力が低下していき、最終的には失明に至る病気ですが、発症後は進行を遅らせる緩和ケアを行うしか方法がないのが現状です。
遺伝子検査で早期にリスクを把握できれば、サプリメントや食事管理といった方法で発症を遅らせるための早めの予防・病気対策が可能になります。
発症を遅らせるために、網膜の血流をよくするような点眼薬や内服薬、レーザー治療などをする報告はありますが、確定的な治療法はみつかっておらず、最終的には失明します。
みんなのどうぶつ病気大百科(アニコム損保) - 進行性網膜萎縮症
ペット保険と「遺伝性疾患」の適用外という現実
冒頭でも触れた通り、子犬や新たに愛犬を迎え入れた際にペット保険の加入を検討する方は多いですが、保険の適用範囲には注意が必要です。
進行性網膜萎縮症も含め、遺伝性・先天性の疾患は保険適用外となるのが一般的なんです。
遺伝子検査は、保険が適用されない領域の病気リスクに対し、予防や健康管理という形で対策を講じるための**「予防的な投資」** として非常に高い価値を持っています。
子犬の遺伝子検査で具体的に何が分かる？
愛犬の遺伝子検査は、ブリーダーやショップ側だけでなく、飼い主さんにとっても多くのメリットがあり、愛犬の年齢が若いほど得られるメリットが多い検査です。
このような検査結果から得られる具体的な情報は以下の通りです。
- 遺伝性疾患のリスク評価：愛犬が遺伝的にどのような疾患にかかりやすいかの評価ができ、病気の早期発見・予防策の検討が可能になります。
- 品種構成の特定：遺伝子検査で品種構成を明らかにし、どの品種が混ざっているかなど、血統管理を行うことが可能になります。
- 健康管理と予防：検査結果に基づき、愛犬に適した長期的な健康管理計画が立てられます。
- 遺伝的な行動特性や性格：行動特性や性格に関する遺伝的傾向を把握できます。
遺伝性疾患のリスク評価と健康管理
遺伝性疾患のリスク評価の結果に基づき、日頃の健康管理にも役立てられる点が大きなメリットです。
具体的には、
- かかりやすい病気のリスクを考慮した食事の選定
- 運動量の調整
など、愛犬の遺伝的傾向に適した長期的な健康管理計画を立てることに役立ちます。
愛犬の生涯の健康を支えるベースとして計画を立て、年に一度の健康診断と合わせることで、より安心して過ごすことができるでしょう。
この記事がわかりやすくておすすめ！ 遺伝子疾患について考えよう - 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ
行動特性や性格に関する遺伝的傾向
遺伝的な行動特性や性格に関する傾向を把握できれば、愛犬に合った環境整備、そしてしつけやトレーニング法に役立てられます。
例えば、遺伝的に不安を感じやすい傾向がある場合、それに応じた安心できる環境作りや、穏やかなトレーニングを意識することもできますね。
愛犬にとって、よりベストなスタイル・環境を整えることは、愛犬の成長にも直結してくる大事なポイントとなるでしょう。
MIX犬や里親で迎えた成犬にも遺伝子検査が役立つ
遺伝子検査のメリットは年齢を問わず、犬種や血統といった条件も関係なく役立てることができる点です。
特に里親として犬を迎え入れた方にとって、遺伝子検査は非常に重要な役割を果たすでしょう。
祖先犬を特定し、愛犬の「トリセツ」として活用する
里親としてMIX犬（雑種・混血種）を迎え入れた場合、祖先犬が明確ではないケースも多いでしょう。
この場合、遺伝性疾患に対するリスク評価は困難となります。
遺伝子検査では、どのような血統が祖先犬であるかを把握することが可能になりますので、その血統特有の遺伝性疾患のリスク評価 にも繋げられます。
また、性質や祖先犬の情報を把握できれば、より早く仲良くなれるヒントが得られる可能性も。
特に成犬を迎え入れる場合、コミュニケーションを通じて徐々に信頼を得ていくことになりますが、ちょっとした情報でも役に立つ場面が出てくるかもしれません。
性格は育った環境も大きく関係します。検査データが100％信頼できるわけではありませんが、愛犬の傾向を知る「トリセツ」 としては十分役立つでしょう！
愛犬に合う遺伝子検査サービスの「選び方」のポイント
遺伝子検査サービスを提供している会社はいくつかあり、それぞれに特徴を持ったサービスを展開しています。
各社の内容を検討することも大切ですが、情報迷子にならないよう、事前に以下のポイントを把握しておきましょう。
検査の目的と優先順位を明確にする
まずは飼い主さんが 「検査で何を知りたいか」 の優先順位を明確にしていきましょう。
- 将来的な遺伝性疾患のリスクを知りたい？
- MIX犬の祖先犬（品種構成など） を特定したい？
- 愛犬に合った性格や行動特性を知りたい？
(愛犬の)犬種特有の遺伝的なリスクについて把握し、目的に合った検査項目を選ぶことが大切です。
価格の良し悪しではなく、得られる情報の質と量 を考慮した総合的な価値で判断するようにしましょう。
【ポイント】 検査精度は100%に近いものの、偽陽性・偽陰性の可能性も0%ではない ことも理解しておきましょう。
検体採取方法によるメリット・デメリットの比較
検体の採取方法は、主に「口腔粘膜」と「採血」の2パターンがあり、検査の精度に差はありません。
| 採取方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 口腔粘膜を採取 | 自宅で手軽に行える | 異物が混ざる可能性があり、再検査になる場合がある |
| 採血する方法 | 異物が混ざる心配がない | 動物病院へ行く手間と、犬によってはストレスになる |
口腔粘膜を採取する方法は自宅でも手軽に行える ため、各社ともに綿棒での検体採取がメインとなっている感じです。
ただし口腔内採取は異物が混ざる可能性もあるので、
- 検体の採取に自信がない
- 再検査の可能性を0にしたい
という場合は、動物病院での採血での検査を検討したほうが良いかも。
【比較】国内で手軽にできるおすすめ遺伝子検査サービス
国内にラボを持つサービスは、海外のサービスに比べて検査結果が早く得られる傾向があり、初めての方にもおすすめです。
Pontely（ポンテリー）：遺伝性疾患リスクを網羅したいなら
のホームページより日本に本社を置くPontelyは、リーズナブルな検査料金で遺伝子検査サービスを提供しており、検査キット到着後約2週間 という早さでレポートを確認できます。
- 【メリット】
- リーズナブルで検査スピードが早い。
- 申し込みページも洗練されており、初めて遺伝子検査を行う方におすすめ。
- 獣医師監修による健康サポートの提供もある。
- 【デメリット】
- 執筆時点では遺伝性疾患の検査のみの取り扱いのため、多くの情報を調べたい場合には不向きかもしれません。
アレミッケ：愛犬の「苦手要因」を把握できる
ファイブストランド ジャパンの「犬猫用不耐性検査アレミッケ」は、フードや栄養素、環境要因など、愛犬が抱える「不耐性」を検査することができ、迎え入れたばかりの成犬にもおすすめ。
即時に反応する「アレルギー」とは異なり、数時間〜数日後に症状を発するので、原因の特定が困難なケースも多い「不耐性」を検査することが可能です。
- 【メリット】
- 愛犬の被毛が検査対象なので、検査ハードルはかなり低め。
- 環境改善のアドバイスも受けられるので、不安を事前に取り除くこともできる。
- 【デメリット】
- 遺伝子検査と異なり、個体にフォーカスした検査なので遺伝情報とは別物。
VEQTA（ベクタ）：幅広いニーズに対応
同じく日本に本社を置くveqta（ベクタ）（新しいタブで開きます）は、遺伝子疾患検査の1項目を安価に行えるほか、親子判定検査や性格診断検査など、幅広いニーズに応えられるメニュー が特徴です。
特に柴犬やA.コッカー、バセット･ハウンドといった犬種でリスクが高いと言われるSRBD1遺伝子（緑内障の原因遺伝子） の検査ができる点もポイントです。
SRBD1遺伝子とは？眼の発達･機能維持に関与すると考えられている遺伝子のこと。この遺伝子の変異が緑内障発症の遺伝的リスク因子となる可能性が高いと言われているんだ！
- メリット：調べられるメニューが多く、検査料金もリーズナブル。
- デメリット：メニューが充実している反面、全体的に分かりにくさや難しさが感じられるため、初めての方は少し手間取る可能性も。
海外の遺伝子検査は？
海外企業は、犬種の品種識別やデータベースの量が圧倒的という印象。
特にMIX犬の祖先犬を詳細に特定したい場合は選択肢になりますが、検査に時間を要し、国際郵送や英語力が必要な場合があるため、まずは国内サービスから検討するのがおすすめです。
Orivet（オリベット）/オーストラリア
orivet（新しいタブで開きます）はオーストラリアに本社を置く会社。
最大のメリットはデータベースの量(犬種の品種識別は350種類以上!)。特に混血種の遺伝子情報を把握したいという飼い主さんは、選択肢の一つとなるでしょう。
検体は日本へ返送しますが、検査はオーストラリアで行われるため、検査結果を得るまでに他社よりも時間を要する点や、価格面がデメリットになるかも。
（犬種鑑定は検体到着から6～8週間程度で、それ以外の検査は4〜6週間程度）
embark（エンバーク）/アメリカ
embark（新しいタブで開きます）はアメリカに本社を置く会社。
遺伝子疾患や品種識別、年齢テストなど豊富な検査内容を揃え、結果に基づいた予防ケアや食事など、犬の健康改善のためのアドバイスも提供しています。
ラボがアメリカにあるため、国際郵便への理解や検査に多くの時間を要する点がデメリット。
まとめ：遺伝子検査は病気の「予防」と「管理」の第一歩
遺伝子検査は、愛犬の健康と生活の質を守るための、最も具体的な 「予防」と「管理」の第一歩 。
今後はより一層、遺伝子検査の利用も拡大していくと考えられます。
子犬や里親として新たに愛犬を迎え入れた際には、通常の健康チェックと合わせて遺伝子検査を実施し、愛犬の生涯の健康計画を立てるための貴重な情報として活用を検討してみてください。
この事実を踏まえると、病気になってから費用をカバーする保険だけでは不十分です。