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【2024年最新】犬のチョコレート中毒|体重別危険量と緊急対処法

犬にチョコレートを与えると中毒に陥るというのは有名な話。

具体的にはチョコレートに含まれる「テオブロミン」や「カフェイン」が犬に悪影響を与える成分となっています。

本記事では海外の情報も交えながら、犬のチョコレート中毒について詳しく解説していきたいと思います。

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犬に悪影響を与えるテオブロミン

チョコレート
Andreas LischkaによるPixabayからの画像

チョコレートやココアに含まれる苦味の正体は「テオブロミン」と呼ばれる成分で、このテオブロミンこそが、犬に悪影響を与える成分です。

テオブロミンとは、苦味成分を特徴とした「メチルキサンチン類」と呼ばれる化合物の一種で、チョコレートの原料となる「カカオ」のほか、「マテ茶」「ガラナ」「コーラ」などにも含まれます。

主要なメチルキサンチン類は以下

  • テオブロミン(カカオに多く含まれる)
  • カフェイン(コーヒーに多く含まれる)
  • テオフィリン(お茶に多く含まれる)

このとおり「コーヒー」「紅茶」「緑茶」なんかも、犬にとっては危険な食べ物・飲み物で、少量であっても悪影響を及ぼす可能性があります。

犬のチョコレート中毒と症状について

パグ
Photo by JC Gellidon on Unsplash

犬のチョコレート中毒を引き起こす、体重1kgあたりのメチルキサンチン摂取量は以下の通り。

テオブロミンやカフェインによる感受性は個体差で異なるため、下記の数値は目安となります

なお、心臓病を患っている場合や高齢犬である場合には、下記の摂取量にかかわらず突然死してしまう可能性が高いこともわかっています。

20mg〜 嘔吐や下痢、排尿の増加
40mg〜 心毒性作用、心拍数の増加、呼吸が荒くなる
60mg〜 痙攣、発作
100mg〜 心不全、昏睡状態

チョコレート中毒の症状が現れるのは6時間後〜

犬のチョコレート中毒の症状が現れ始めるのは6時間〜12時間以内となっており、中毒症状は最大で72時間ほど続く場合があります。初期症状では、

  • 多飲・多尿
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 落ち着かなくなる

といった症状がみられるようになり、

多動→多尿→運動失調→硬直→振戦→発作

といったように、症状が悪い方に変化していく場合もありますので、チョコレートの誤食後、24時間以内は症状の変化に注意が必要です。

犬がチョコレートを誤食した場合の致死量とは

ペキニーズのモノクロ写真
Photo by Aramis Cartam

犬がメチルキサンチンを摂取してしまった場合のLD50(半数致死量)は、体重1kgあたり100mg〜200mgという報告があります。

The LD50 of both caffeine and theobromine is reportedly 100–200 mg/kg,

(訳)カフェインとテオブロミンの両方のLD50は100〜200mg/kgと報告されています。

Merck Veterinary Manual – Chocolateより

個体差にもよりますが、1kgあたり100mg前後のカフェイン、もしくはテオブロミンを摂取してしまうと、かなり危険な状態と言えるでしょう。

例えば、体重4kgの小型犬の場合、80mg前後のメチルキサンチンを摂取してしまうと嘔吐や下痢と言った中毒症状が、200mgを超えてしまうと不整脈や心不全といった重篤な状態に陥ることが予想されます。

メチルキサンチン総量で考える事が大切

半数致死量を表すLD50の目安は100mg〜200mg/kgですので、4kgの小型犬の場合はテオブロミン、もしくはカフェインを400mg〜800mg摂取してしまうと、命を落とす確率が50/50ということになります。

あくまでもこれらの数値はメチルキサンチン類の総摂取量であり、「チョコレート」の摂取量ではありません。

つまり、
チョコレート1g = メチルキサンチン1g
ではないという事!

では実際に、チョコレートに含まれるテオブロミンやカフェインの含有量を調べるにはどうしたら良いのでしょうか。

次のページでは、具体的に犬に危険が及ぶチョコレートの量や対処法などについて解説していきます。

犬に危険が及ぶチョコレートの量は?

板チョコレート
jacqueline macouによるPixabayからの画像

チョコレートにテオブロミンが含まれていると言っても、テオブロミンの含有量はカカオ豆によるばらつきや、製品によっても異なります。

また、実際にチョコレートにどのくらいのテオブロミンが含まれているのかは、現時点では製品に記載されていることもないため、把握することが難しいです。

そこで、参考として厚生労働省から2008年に発表された「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」を参考にしていきたいと思います。

この報告書では、販売されているチョコレート(2008年時点で販売されていた商品)15種が調査対象になっており、テオブロミンやカフェインの100gあたりの含有量も調査されています。

  テオブロミン カフェイン カカオ分の割合
明治製菓
チョコレート効果
板カカオ99%
1100mg 120mg 99%
明治製菓
チョコレート効果
板カカオ86%
990mg 93mg 86%
森永
カレ・ド・ショコラ
[カカオ70]
610mg 110mg 70%
ロッテ
カカオの恵み
〈88%CACAO〉ドミニカブレンド
800mg 84mg 88%
ロッテ
カカオの恵み
〈77%CACAO〉メキシコブレンド
710mg 68mg 77%
プーラン
1848 ノアユーテム86%
(原産国名:フランス)
810mg 85mg 86%
プーラン
1848 ノア76%
(原産国名:フランス)
580mg 84mg 76%
コートドール・センセーション
ブルート 86%カカオ
(原産国名:ベルギー)
720mg 91mg 86%
コートドール・センセーション
インテンス 70%カカオ
(原産国名:ベルギー)
580mg 81mg 70%
ザロッティ
サント・ドミンゴ85%
(原産国名:ドイツ)
820mg 110mg 85%
リンツ・チョコレート
エクセレンス 99%カカオ
(原産国名:フランス)
1100mg 98mg 99%
リンツ・チョコレート
エクセレンス 85%カカオ
(原産国名:フランス)
840mg 84mg 85%
明治
ミルクチョコレート
250mg 25mg 36%
森永
ミルクチョコレート
270mg 36mg 41%
ロッテ
ガーナミルク
220mg 28mg 33%

チョコレートによって大きく異なるテオブロミン含有量

私も大好きなロッテの「ガーナミルクチョコレート」を例にとってみると、220mg/100gのテオブロミンが含まれており、カフェインの含有量は28mg/100gとなっています。

ガーナミルクチョコレートの内容量は50gですので、板チョコ一枚あたりのメチルキサンチン濃度は下記の通り。

テオブロミン含有量約110mg
(1gあたり2.2mg)
カフェイン含有量約14mg
(1gあたり0.28mg)

この計算で行くと、4kgの小型犬の場合はガーナミルクチョコレートを約6〜7割(約33g)ほど食べてしまうと、中毒症状が引き起こされる計算になります。

33g中にはテオブロミンが72.6mg、カフェインが9.2mg含まれるので、これを合計したメチルキサンチン濃度の合計が81.8mgという計算となります。

99%カカオの場合は更に深刻に

100gあたりのテオブロミン含有量が1100mgカフェイン含有量が98mgとこの調査結果でも最も多いグループだったのが、「リンツ チョコレート エクセレンス 99%カカオ」です。

製品内容量が50gですので、板チョコ1枚あたりのメチルキサンチン濃度は下記の通り。

テオブロミン含有量550mg
(1gあたり11mg)
カフェイン含有量49mg
(1gあたり0.98mg)

これを4kgの小型犬で計算すると、メチルキサンチン濃度が80mg(テオブロミン:73.7mg、カフェイン:6.57mg、合計で80.27mg)を超える6.7gが中毒症状を引き起こすボーダーラインとなります。

カカオの量が多い製品のほうがより危険度は高く、4kgの小型犬では約7g程度を摂取してしまうだけで、深刻な中毒症状が現れることが予想されます。

カカオはメチルキサンチン濃度が高い

粉砕されたカカオ
Janice Weir-GermiaによるPixabayからの画像

上記で説明してきたとおり、カカオの含有量が高いとテオブロミンやカフェインの含有量も多く、メチルキサンチン濃度が高いということがわかりました。

メチルキサンチン類の特徴となるのは「苦味」であることを説明してきましたが、私達が食べて苦いと感じるものほど、危険度は高いと認識して間違いないでしょう。

逆にガーナミルクチョコレートのように甘いチョコレートであれば、メチルキサンチン濃度も比較的低いわけですが、結局の所、危険であることに違いはありません。

犬にとって特に危険なのは「ココア」

チョコレート以外にもテオブロミンやカフェインを多く含む食品に挙げられるのが「ココア」です。

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原材料:砂糖、ココアパウダー(ココアバター22~24%)、ぶどう糖、脱脂粉乳、乳糖、クリーミングパウダー、麦芽糖、全粉乳、カカオマス、食塩/香料、pH調整剤、乳化剤

メーカーや製品によっても異なりますが、一般的な「ココアパウダー(脂肪23%)」を例に取ると5g中にテオブロミンが105mg、カフェインが7mg含まれるようです。

先程紹介したカカオ99%のチョコレートでも、1gあたりのテオブロミンが11mg、カフェインが0.98mgですので、ココアパウダーがいかにメチルキサンチン濃度の高いものかがわかります。

ココアパウダーの場合、わずか3.6gでメチルキサンチン濃度が80mgを超える計算!

LD50(半数致死量)では体重1kgあたり100mg〜という数値になりますので、理論上では4kgの犬の場合、わずか4.5gのココアパウダーを摂取することで、命の危険を脅かすレベルとなります。
(※)理論上の数値ですので個体差、健康状態により異なります。

ホワイトチョコなら犬も大丈夫?

チョコレートの中でも、実は「ホワイトチョコレート」については「ココアパウダー」を使用せずに作られるため、テオブロミンの含有量も限りなく少ない事が挙げられます。

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100gあたりのホワイトチョコレートでは、テオブロミンの含有量が0.22mgカフェインの含有量が0.74mgとなり、メチルキサンチンの総量も0.96mgとなります。

犬がチョコレートを食べてしまった時は?

おやつを食べる犬
MartineによるPixabayからの画像

犬がチョコレートを食べてしまった場合、たとえ少量であっても動物病院へすぐに連絡してください。

場合によっては応急処置の方法も電話で伝えられるかもしれませんが、自己判断で行うのは絶対に勧めません。

また、どのチョコレートをどれだけ食べたのかいつ食べたのかも把握しておくとより良いでしょう。

上記で説明してきた目安量は、あくまで一般的な目安です。
愛犬がメチルキサンチン類に対し、どれだけの感受性があるのかはわかりません!

その例の一つとして私の愛犬の経験をご紹介したいと思います。

2枚の「白い風船」でもチョコレート中毒に

ここで私の経験をご紹介。

愛犬ビビアン(パピヨン、4kg)が昔、お菓子の「白い風船」を2枚食べてしまったことがありました。

幸いなことにビビアンの命に別状はありませんでしたが、4日ほど水下痢が収まらず、便が完全に安定するまでには1週間ほどかかった覚えがあります。

原材料:油脂加工品(砂糖、植物油脂、ココアパウダー、乳糖、全粉乳、カカオマス)、うるち米(米国産)、でん粉、植物油脂、砂糖、食塩、植物性乳酸菌末(殺菌)、貝カルシウム、乳化剤(大豆由来)、香料、酸化防止剤(ビタミンE)

今回、白い風船の1枚あたりのメチルキサンチン濃度を計算することはできませんでした。

ただ、ココアパウダーとカカオマスが使用されていますので、完全にチョコレート中毒であったことがわかります。

少量のチョコでも感受性が高ければ油断はできません

白い風船を食べたことがある方ならわかるかと思いますが、せんべいの中に入っているチョコレートの量はかなり少量です。(そこまでビターではないチョコレートです)

また、白い風船は個包装になっているので大丈夫かと油断していました。

この教訓から、

  • 個包装のお菓子でも油断してはいけないということ
  • 少量のチョコでも中毒症状が現れる場合もある

を学んだのでありました・・・

安易に考えるのは危険です!

犬の誤飲・誤食によって引き起こされるチョコレート中毒。

私達の身の回りにはたくさんのチョコレート菓子がありますので、いつ起きてもおかしくはない事故のひとつです。

  • 犬が届かない場所に保管する!
  • 小さなお子様がいる家庭は特に注意!
  • 犬のチョコレート中毒について、家族内でも情報共有する!

今回、記事の参考にしていたのは海外の情報でしたが、日本のサイトで「5kgの犬でミルクチョコレート5枚で中毒症状」と説明しているサイトも・・・

完全に致死量レベルですので、こうした情報にも十分に注意しなければなりません。

愛犬が摂取したようであれば、どんな量でも病院に行くのが最も安全です!

Reference